9000系事業用気動車
(レール輸送用気動車)



2025年2月6日
多度津駅構内



 JR四国では従来、長さ25mの定尺レールの輸送にはチキ6000形長物車を使用してDE10形ディーゼル機関車の牽引により行っていたが、2022年度末をもってDE10形が全車廃車となってしまった後は、保線機械等によって代替していた

 JRグループにおいて、旧来のチキ形式を使用した機関車牽引列車に代わる新型の在来線用レール輸送用車両としては、2007年にJR東海がキヤ97系事業用気動車を開発して運用を開始し、2017年にはJR東日本も同型車両をキヤE195系として投入している。
 JR四国でも、それに追随する形で2024年度に投入したのが、9000系である。

 これらの車両は「気動車」であることから、通常の気動車の操縦免許で運転できることから、機関車牽引列車に比較して乗務員の確保が容易な点が大きなメリットとなる。


 2025年1月初旬に日本車両で9001+9051形の2両が落成して四国へ甲種輸送が行われた。

 基本性能及びデザイン等は、JR東海のキヤ97系キヤ97形の0番台車及び100番台車と同一で、外観上の目立つ相違点は側面の帯の色(9000系はスカイブルー)と、正面窓下の飾り手すりと大型スノープラウの有無(いずれもキヤ97は有り、9000系は無し)程度である。
 また、前照灯がLED灯となっている点も大きな変更点となっている。

 駆動系はそのまま踏襲している模様で、四国では初のカミンズエンジン搭載車となる公算が大きい。



 なお、本家であるキヤ97系にはロングレール輸送に対応した車両も存在するが、JR四国では未導入である。


 多度津駅構内でのレールの積み込み作業の様子。

※3枚とも、2025年2月4日撮影





 ”生首”と呼ばれる運転台部分。

 連結器は密着自動連結器。ブレーキ管とMR管を備える。


 その”後頭部”。

 ”貫通扉”があり、排気管や空調装置がむき出しとなっている。



 9001形の銘板。
 9051形も同一。


 9001形の検査・所属表記と重量表記。


 こちらは9051形。
 重量がわずかに異なる。


 前位側のS−DT72形駆動台車。

 基礎ブレーキ装置は踏面両抱式。
 台車のすぐ後ろに、ATS車上子がある。



 S−DT72形台車の銘板。


 後位側は駆動力の伝達されないS−TR72形従台車となる。



 中間の連結部。

 連結器は先頭車と同じ密着自動連結器で、3本のホースが接続されている。



 9001形の車両中央部にあるレール押さえ。



 9051形は基礎部分のみ。

 この表の画像、全て2025年2月6日・多度津駅構内にて撮影。





※下記スペックはJR東海・キヤ97形とほぼ同一仕様と想定した場合のものであり、一部異なっている可能性がある
形式9000形9050形
製造年次
製造数
2024年度(2025年)
製造メーカー日本車両(豊川)
車体 普通鋼
運転台部:ステンレス
寸法 連結面間 18,200 mm
車体長 17,400 mm
運転台 2,800 mm
荷台 2,700mm
屋根高さ 3,610 mm
重量自重28.4 t28.5 t
空車重量29.3 t29.3 t
最大レール積載時重量59.6 t59.2 t
動力伝達方式液体式
機関形式
出力
カミンズ製N14E−R (*1)
360PS × 1
変速機
変速2段+直結3段(自動変速)
最終減速比
台車形式 S−DT72/S−TR72
軸箱支持:円筒積層ゴム+コイルばね
ブレーキ方式 機関・リターダブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
ブレーキ装置踏面両抱
床面(荷台)高さ1,150 mm
許容最高速度 空車時 110km/h
積車時 95km/h
備考(*1) エンジン形式は現時点での推定。



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