キハ185系3000番台
一般形気動車


キハ65+58との併結4連
4両編成中3両が500馬力という強力編成

予讃線 松山駅
2006年4月15日

編成2両目のトイレ付き3000番台車は、2006年6月
以降は特急仕業に復帰したため、現存しない



 国鉄分割民営化を控えた1986年11月改正で、鳴り物入りで登場して総勢52両が製作されたキハ185系だったが、1989年の2000系と93年の8000系の登場によってわずか数年で主力の座から転落、余剰車となった20両はJR九州へ売却された。


 そんな中で1999年7月、1960年代に製造された旧国鉄急行形気動車を淘汰することを目的として、便所・洗面所を持たないキハ185−1000番台車の内の8両が普通列車仕様化改造を受け、原番号+2100番の、3100番台の車番を付与されて、予讃線を中心に活躍を開始した(3102,3103,3105,3106,3107,3109,3110,3113)。

 改造内容は小規模で、ヘッドマークの行先表示器への改造、リクライニングの固定化、シートカバーのビニール化(オリジナルはクロス)、塗色の一部変更にとどまっており、座席の回転機構は残され、しかも固定してあるはずのリクライニング機構が生きている座席もあって特急時代の面影を強く残しており、普通列車用車両としては全国的にもかなりハイグレードな客室である。
 また運用の都合上、キハ47やキハ32などの在来車との併結も考慮する必要があることから、その為のジャンパ栓と栓受けが増設されている。

 2000年6月にはキハ185形0番台からの改造による、トイレ・洗面所設備をもつ3000番台車が2両登場、車番は原番号+3000となった(3009,3013)。


 なお、座席のリクライニング機構はその後撤去されたほか、回転機構についても現在は使用停止とされて向かい合わせで固定されているという情報も一部あるが、工場入出場試運転の際には一方行向きに揃っているケースも散見されることから、回転機構は今でも生きているはずである。



↓運転台

(画像は1000番台車)


 特急時代の面影を強く残す、普通列車としては非常にハイグレードな客室。


 シートはもちろん、回転式(2003年当時)。


 リクライニングが生きている座席も存在した(2003年当時)が、その後リクライニング機構そのものが撤去されてしまっている。


 まるで特急列車の室内。


 くず物入れも特急時代のまま使用(画像は3013号車)。


 かつてのヘッドマーク表字幕は行先表示となっている。


 かつて存在した3000番台車の方向幕は不使用状態であった。





<運用・再改造等>

 2000年度までに、3000番台車2両と3100番台車8両が松山運転所に配属され、予讃線 松山以南と予土線 宇和島〜江川崎間で運用された。


 2006年には、同年6月1日の時刻修正による、特急「むろと」増発のため、このうちのトイレ付き3000番台車2両が特急用に再整備されて、特急列車運用に復帰している。
 この時点で残存数はトイレ無しの3100番台車ばかりの8両となり、予土線の運用がキハ32+54に置き換えられて消滅した。

 次いで、2017年春に登場した観光列車「四国まんなか千年ものがたり」の3号車キロ185−1003の種車としてキハ185−3102が選択され、2016年秋から改造着手して年明け早々に完成した(新車番:キロ185−1003)。

 さらに2021年4月1日に、前年11月に検査入場したばかりの3113号車が、2020年度末に公式発表された次世代「伊予灘ものがたり」の改造種車として再び多度津工場に入場し、キロ185−1401となった。


 これらの再改造車両の内、特急仕業に復帰した2両(3009,3013:現車番=キハ185−9/キハ185−13)は、3000番台化改造の際に増設されたジャンパ栓納めが今もまだ残っているが、「四国まんなか千年ものがたり」「伊予灘ものがたり」に改造された2両はジャンパ栓納めが撤去されている。

 2022年現在のキハ185形3000番台車としての残存数は6両(3103,3105,3106,3107,3109,3110)となっており、全車が1986年11月改正に合わせて新製投入されたグループとなっている。


 予土線の運用が無くなって以降の定期運用は、予讃線の松山以南のみで1日1〜3往復程度、という体制が続いている。



<キハ185−3000系運用列車>
 (2021年3月13日改正)

 911D/628D


 現在の定期運用は、松山以南限定で1日わずか1往復のみとなっている。

 片運転台で最短でも2両編成からの運用となるうえ、ラッシュ時に弱いデッキ付き2扉構造のため松山地区ではかなりもてあまし、昼間は基本的に車庫で寝ており、非常にもったいない運用。
 市坪最寄りの坊ちゃんスタジアムでイベントなどがあった場合には、臨時列車や臨時増結として活躍することも多い。



形式 キハ185形
3000番台
キハ185形
3100番台
製造元新潟鐵工所/日本車輌
製造初年1986年
改造多度津工場
改造初年2000年1999年
改造両数 2
(現存せず)
8
(現存数:6)
画像トイレ付きトイレ無し
車体
屋根
 両車とも機器配置は基本的に同じで、同時期に製作されたキハ54形を片運転台仕様にしたような屋根上。
 トイレ付きの3000番台車は、トイレ側端部に機器搬入出用の開口部とその蓋がある。
最大外寸21,300 mm
2,943 mm
3,845 mm
台車中心間距離144,400 mm
重量39.6 t38.4 t
車体ステンレス
機関形式
出力
DMF13HS
250PS/1,900rpm × 2
変速機 TC2A 又は DF115A
(変速1段・直結1段手動変速)
最終減速比2.613
燃料タンク容量600 L × 2
ブレーキ方式 機関ブレーキ付
応速度増圧付き CLE
ブレーキ装置踏面両抱
台車形式 DT55
軸距
車輪直径
2,100 mm
860 mm
補助電源装置機関直結
空気圧縮機機関直結
冷房装置 AU26
28,000 〜 40,000 kcal
客室暖房装置温風式(車内放熱器)
許容最高速度110km/h
車体構造・客室2扉クロスシート
ドア幅850 mm × 2
シートピッチ940 mm
床面高さ1,250 mm
乗車定員90 (座席:60)96 (座席:64)


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