快速
マリンライナー
瀬戸大橋線 岡山〜高松間
下り38本/上り35本
5000系/223系5000番台

瀬戸大橋線の主力
海を渡る都市間快速列車


マインライナー31号
予讃線 八十場〜坂出間
2022年1月4日


<HISTRY>
<小ネタ>


<概況>

 JR四国のドル箱(のはず(^^; )である、瀬戸大橋線の主力列車。
 運転最高速度は、普通列車としては京阪神の新快速と並んで国内最速となる130km/hで、岡山〜高松間は下り53分/上り52分運転を基本とする。

 2階建てグリーン車を組み込んだJR四国の5000系基本3両編成と、JR西日本の223系5000番台車モノクラス付属2両編成の併用により、下り38本/上り35本の合わせて73本が設定されており、高松8時台発から21時発までと、岡山9時発から23時発までの間、ほぼ30分ヘッドのダイヤが構成されている。

 上下で3本の差が生じるのは、付属編成のみで運転される列車が、上り1本に対して下りは4本設定されているためである。
 これは翌朝の岡山方面への通勤輸送用の増結編成を高松へ送り込むためでもある。

 岡山地区のラッシュアワーにかかる8号と10号が7両編成となるほか、早朝深夜にはグリーン車付き3両編成(69号)や、モノクラス2両編成(1〜3/71/73号)も運転されるが、よく考えるとたった2両編成の快速が130km/hですっ飛ばしているところなど、日本中探してもここだけであるw
 高松寄りの1号車は中間部が2階建て構造となり、1階部分と後位側車端部が普通車指定席、2階部分と前位側平床室がグリーン席となる。それ以外は全て転換シート(といっても事実上半分以上が固定式)となる。

 都市間・都市圏輸送のみならず新幹線連絡の使命もあり、岡山駅では始発及びほぼ最終近い新幹線に接続し、朝の始発列車は4:35から動き出し、夜の最終列車は0:31まで運行されている。

 Covid-19の影響により利用客減少を受けて、2022年3月12日改正で夜の最終列車が廃止され、運転開始以来守り続けていた「下り最終の新幹線まで接続」する伝統がついに潰えてしまった。



 1988年の運転開始初年から全国版の時刻表に編成表が掲載されている(*1)数少ない「普通列車」でもあり、運転頻度/設備/スピードを総合すると普通列車では国内最高クラスにランクでき、優等列車として扱っても差し支えないほどの内容を持つ、ハイレベル&ハイグレードな都市間快速列車である。


 正式名称は「マリンライナー」だが、地元では親しみも込めて単に「マリン」と呼ぶ人も多い。



(*1) JR時刻表の場合、運転開始当初は未掲載だったが、同年秋の号から掲載開始となっている。



<HISTORY>


 瀬戸大橋開業に伴う1988年4月10日のダイヤ改正で、瀬戸大橋線の主力を成す都市間快速列車として登場。
 前年の1987年3月28日から、宇野線快速「備讃ライナー」として運転を開始した213系が充当されたが、「マリンライナー」運転開始にあたっては新たにパノラマグリーン車が製作され、高松方先頭の1号車に連結された。

 当初はデータイム9両編成が基本で、毎時1本の1日19往復が設定されたが、折からのブームに瀬戸大橋博覧会の開催もあって観光客が殺到して、定期列車のみでは旅客を輸送しきれなくなり、117系や167系、111系などを使用した名無しの臨時快速も設定された。これらの臨時快速は、3月改正での設定当初は岡山〜児島間の設定であったが、翌4月の大俳諧性のダイヤ改正でそのほとんどが高松まで延長された。

 なお定期列車19往復のうち、グリーン車の連結が無かったのは朝の上り1本と、深夜の下り2本/上り1本であったほか、211系「ゆめじ」を連結した、グリーン車3両連結の列車も5往復が設定されていた。

 当時の岡山〜高松間の所要時間は58分が基本で、営業運転最高速度は110km/hであった。

 ちなみに、列車番号は3121M〜 が割り当てられたが、コレは改正前に宇野線に運転されていた快速「備讃ライナー」をそのまま引き継いだものであった。


登場時は9両編成が基本

マリンライナー12号
予讃線 国分〜讃岐府中間
1988年8月8日


当時は瀬戸大橋開業ブームに沸く夏休みシーズン中
「ゆめじ」を増結して、途中停車駅のホームをはみ出すほどの堂々11両編成で予讃線を行く

マリンライナー11号
予讃線 国分〜讃岐府中間
1988年8月8日


 博覧会終了後の1988年10月25日の時刻修正では、定期列車19往復の他に名称無しの高松〜岡山間臨時快速5往復が毎日運転で残された。


 1989年3月11日改正では定期列車25往復に増発となったほか、毎日運転の臨時列車が4往復(81〜88号)設定され、これらを合わせてデータイム毎時2本の運転となった。
 これに合わせて、基本編成はグリーン車と座席指定席車各1両を組み込んだ6両になった。
 グリーン車は、上り始発1本と下り最終1本(2/49号)を除いた全列車(80号台を含む)に連結されていた。

 なお、最速列車は岡山〜高松間55分運転であった。


 1989年7月22日改正では、臨時扱いだった4往復が定期列車化されて定期列車29往復体制となった。


 1990年3月10日改正では午前中1往復が増発されて、30往復体制となった。
 1往復(2/59号)を除いた全列車にグリーン車が連結されていた。


マリンライナー31号

予讃線 国分駅
1990年12月31日


 1991年3月16日改正では夕方ラッシュ〜夜間帯に3往復が増発されて33往復の運転となり、毎時2本運転の時間帯が早朝から夜間にまで及んだ。
 グリーン車は、相変わらず上り始発と下り最終(2/65号)を除いて全列車に連結されていた。


4号車と5号車に続けてクハが連結された
マリンライナー19号

予讃線 坂出〜宇多津間
1991年8月


当時の「マリンライナー」用クロ212形0番台車は全5両
その全てが、異なるラインカラーとなっていた
クロ212−1
クロ212−2
クロ212−3
クロ212−4
クロ212−5

この車両は、後年クロ212−3と
同じ帯色に変更されている
クロ212−1001(ゆめじ)




マリンライナー28号
予讃線 国分〜讃岐府中間
1992年1月2日



マリンライナー3号
予讃線 鬼無〜端岡間
1992年8月26日


 1993年3月18日改正で、深夜の下り高松行が1本増発され、下り34本/上り33本となった。このため、朝の下り始発列車にグリーン車の連結が無くなり、上下合わせて3本(1/2/67号)がグリーン車非連結となった。


後ろが見切れているが、年末年始で増結9両編成となった213系

マリンライナー31号
予讃線 坂出〜宇多津間
1997年1月1日


 1997年11月29日改正では、窮屈な宇野線区間のダイヤを反映して、データイムの岡山〜高松間基本所要時間が下り58〜60分/上り56〜58分にスピードダウンした。
 なお、最速列車は同区間55分運転を維持している。


珍しい8両編成で予讃線を行く

マリンライナー32号
予讃線 鴨川〜八十場間
1998年5月1日


瀬戸大橋開業10周年を記念してラッピングの施されたサハ213&クモハ213形
上(↑)の列車の折り返しで、ラッピング+珍しい8両編成という貴重なカット

(2枚とも)
マリンライナー37号
予讃線 讃岐府中〜鴨川間
1998年5月1日


「ゆめじ」を増結したグリーン車3両組み込みの編成だが、
このように「ゆめじ」にクハを連結した状態での9両編成は珍しい

マリンライナー40号
予讃線 鴨川〜八十場間
1998年5月1日


 1998年10月3日改正では、「瀬戸」に続行する朝の下り1本と、同じ時間帯の上り1本が増発され、下り35本/上り34本の合わせて69本に増発となった。
 しかしダイヤ的にはさらに後退し、データイムは上下とも30分間隔運転が破られ、下りが23分または37分間隔、上りが26分または34分間隔となったほか、上り列車の標準所要時間が58分または61分とさらにスピードダウン。最速列車も所要56分にダウンした。


 1999年3月13日改正では、新幹線の時刻変更を受けて、下り最終69号の岡山発車時刻が0時を過ぎ、「日が変わってから始発駅を発車する最終列車」が登場した。


通勤時間帯の輸送力列車は常時9両編成であった

マリンライナー5号
予讃線 国分駅
1999年8月1日


等時隔ダイヤにより、見事なほどに毎時全く同じ場所で離合する

マリンライナー32号(左)/マリンライナー29号(右)
予讃線 鬼無〜端岡間
1999年8月10日

マリンライナー36号(左)/マリンライナー33号(右)
予讃線 鬼無〜端岡間
2000年2月2日



 2000年3月11日改正では改善が図られ、1年半ぶりにデータイム30分ヘッドが復活したほか、標準所要時間も下り56分と以前の水準を回復。
 しかし上り列車は標準所要時間61分となり、1時間未満で到達するのは朝と夜間の一部列車だけになってしまった。

 グリーン車非連結列車については、下り始発と下り最終の1本前の列車で立て替えが行われ、総数3本に変更はないが、上り始発と下り最終およびその1本前(2/67/69号)が該当列車となった。



マリンライナー6号
宇野線 備前西市駅
2000年5月6日


クロ212形の0番台車が車両点検の時は、「ゆめじ」が代走していた

マリンライナー30号
予讃線 鬼無〜端岡間
2000年6月11日


 2001年3月3日改正では、3号と64号がグリーン車非連結に変更された。
 また、この改正からは円形ヘッドマークの掲出が無くなった。


213系の晩年はヘッドーマークが無くなり前面方向幕に列車名を表示

マリンライナー32号
予讃線 坂出〜宇多津間
2001年6月16日


 2001年10月1日改正では、標準所要時間が下り57分/上り59分とわずかながら改善された。


 2002年3月23日改正では、4年半ぶりに岡山〜高松間55分運転が復活。
 特に上り列車の多くが55分運転とされ、11本が設定された。


この当時2両が存在した、桃太郎ラッピング車
此方はグリーン

マリンライナー39号
宇野線 妹尾〜備中箕島間
2002年3月30日


此方がピンク

マリンライナー29号
予讃線 坂出〜宇多津間
2003年8月16日


営業運転を前に試運転中の試運転列車9196M
(試運転時の画像は、5000系及び223−5000系の項にも掲載)

予讃線 八十場〜坂出間
2003年9月13日


5000系試運転列車と並んだ、桃太郎ラッピング(ピンク)編成

マリンライナー40号(左)
予讃線 高松駅
2003年9月14日


すれ違う「マリンライナー」

マリンライナー29号(左)/マリンライナー32号(右)
C005編成とC006編成の奇跡の連番離合w
予讃線 国分〜讃岐府中間
2003年9月19日


 2003年10月1日改正では、全列車が一斉に新型車両化された。

 JR四国保有の5000系と、JR西日本保有の223系5000番台の投入により、最高速度がそれまでより20km/hアップの130km/hとなり、普通列車としては京阪神の新快速と並んで国内最速となった。
 最速列車は岡山〜高松間で3分短縮の52分運転となり、表定速度は82.8km/hと、ついに80km/hの大台に乗った。

 併せて下り3本と上り2本が増発され、これで下り38本/上り36本の計74本となった。
 30分間隔運転の時間帯も拡大され、特に下り岡山発は9時から深夜23時までが30分ヘッドとなった。

 グリーン車と普通車指定席車を1両にまとめてダブルデッカーとしたことから、データイム基本編成が5両に減車され、早朝の1〜3号と深夜の72/73/75号の計6本がグリーン車無しのモノクラスとなるほか、付属編成無しのグリーン車付き3両編成も1往復(4/71号)設定された。

 この改正に合わせて、ヘッドマークデザインが一般から募集され、改正後しばらくの間編成前後にヘッドマークが掲げられていたが、ほんの1週間程度で掲出を止めてしまっている。


置き換え当初は、貫通型先頭車にもヘッドマークが掲げられていたが、
1週間ほどで掲出をやめてしまった

マリンライナー22号
予讃線 高松駅
2003年10月5日


新車に替わって初めての年末年始、増結で旅客輸送に当たる「マリンライナー」

マリンライナー32号
予讃線 坂出〜宇多津間
2003年12月29日

マリンライナー35号
予讃線 八十場〜坂出間
2003年12月29日





 2005年3月1日改正では、新幹線の大幅な時刻改正に伴って運行時間帯が若干変更された。
 併せて下り1本がモノクラス2両編成で増発され、岡山〜高松間に下り39本/上り36本(内下り4本/上り1本がモノクラス)の運転となった。

 今改正では、最速列車の所要時間が1分短縮されたほか、データイムは岡山行上り列車の全てが52分運転にスピードアップした。


日中は30分間隔で同じ場所で離合シーンが展開される

マリンライナー44号(左)/マリンライナー41号(右)

マリンライナー46号(左)/マリンライナー43号(右)

(2枚とも)
予讃線 八十場〜坂出間
2005年10月8日


2004年に高松方先頭の5100形が鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞したのを記念して、
同年夏から5100形全車の運転台側に受賞記念のプレートが掲出された。

マリンライナー39号
予讃線 国分駅
2005年10月9日

予讃線 高松駅
2005年6月12日

2005年の年末頃に全て撤去された模様で、
2006年1月半ばには既に無くなっているのが手持ち画像から確認できる。



高松駅で並ぶ、ブルーリボン賞のプレートを掲げた5100形

マリンライナー34号(左)/マリンライナー29号(右)
予讃線 高松駅
2005年10月9日


何故か前照灯非点灯で走行する「マリンライナー」

マリンライナー42号
予讃線 国分駅
2005年10月9日


 2006年3月18日改正では、最速列車の所要時間が再び52分にダウンした。
 また標準所要時間も、下りは54〜55分、上りは52〜53分と若干(特に下り)スピードダウン。



マリンライナー29号
予讃線 国分〜讃岐府中間
2006年9月18日


 2007年7月1日改正では、かねてから苦情(?)のあった混雑を緩和するため、JR西日本保有の付属編成に、223系2000番台車のサハ223形が増結され、データイムは6両編成、ラッシュ時は最大9両編成に増強された。


2007年7月1日改正からは、データイム6両に増結

マリンライナー25号
予讃線 国分〜讃岐府中駅
2007年7月3日


 2008年3月15日改正では、上り列車の標準所要時間が54分にスピードダウン。最速列車は52分で変わらず。

 また、この改正から列車番号の開始番号が従来の「3121M〜」から「3101M〜」に変更されている。


瀬戸大橋開通20周年記念ヘッドマークを掲げた「マリンライナー」

マリンライナー44号(左)/マリンライナー39号(右)
予讃線 高松駅
2008年6月3日


通常「マリン」のヘッドサインは黒地にゴシック体の白文字だが、
2008年に宇野線で「マリン」踏切事故に遭遇した後、当該事故車のP1編成岡山方の
クモハ223−5001は、少なくとも同年年末までの間、
213系「マリン」が使っていた白地にデザイン文字のヘッドサインを暫定的に使用していた

マリンライナー42号
予讃線 八十場駅
2008年9月22日


下津井瀬戸大橋を渡ると、香川県区間に入る

マリンライナー25号
本四備讃線 児島〜宇多津間
2008年10月28日


2010年1月末で消滅した、定期列車9両編成

マリンライナー8号
予讃線 高松駅
2010年1月13日


 2010年1月、景気後退などによる利用客減少を受けて、2007年7月から連結されていた付属編成の中間車が減車された。
 編成減車は1月19日から23日にかけて実施され、1月24日以降は付属編成は全て2両とされた。
 これにより、データイムは6両から5両に、ラッシュ時の最長編成は9両から7両に減車、、、というより、以前の体制に戻った。


通勤時間帯の7両編成

マリンライナー12号
予讃線 坂出駅
2010年4月30日


瀬戸内芸術祭開催中は5100形に専用ヘッドマークが掲出される

マリンライナー28号(左)/マリンライナー23号(右)
予讃線 鬼無駅
2010年5月8日


2018年4月10日から同年9月30日まで、高松方の5100形に
瀬戸大橋開通30周年記念のヘッドマークを掲げて運行

マリンライナー35号
予讃線 八十場〜坂出間
2018年4月12日


 2020年3月14日改正では、特に変更は無い。


2020年度から2021年度にかけて、5000系のLED装置の交換が行われた
トップを切って交換されたM2編成(左)の行先表示が在来型(右)に比べて大幅に見易くなった

マリンライナー40号(左)/マリンライナー35号(右)
予讃線 高松駅
2020年5月12日撮影



5000系M編成のトラブルにより、この日は一部「マリンライナー」が223系5000番台P編成のみモノクラス4両編成で運転された

マリンライナー36号
予讃線 香西駅

マリンライナー39号
予讃線 鬼無駅
2020年10月30日(2枚とも)



 2021年3月13日改正でも、特に変更はない。


現在のダイヤでは、データイムは30分ごとに八十場付近ですれ違う

マリンライナー38号(左)/マリンライナー35号(右)
予讃線 八十場〜坂出間
2021年5月6日


 2022年3月12日改正では、Covid-19の影響により利用客減少を受けて、上下の最終列車1往復が廃止されて「マリンライナー」の歴史上初の減便となっただけでなく、運転開始以来守り続けてきた「下り最終の新幹線まで接続」する伝統がついに潰えた。
 廃止列車は下りはモノクラス、上りはグリーン車付きで、この関係で下り1本がグリーン車付き編成からモノクラス編成に変更されている。

 結果、岡山〜高松間に下り38本/上り35本(内下り4本/上り1本がモノクラス)の運転となっている。また、下り1本がグリーン車付きの3両編成での運転となる。


 2023年3月18日改正では、特に変更はない。


瀬戸大橋開通35周年記念ヘッドマークを掲げた
M1編成先頭の「マリンライナー」

マリンライナー33号
予讃線 八十場駅
2023年4月19日


5000系1編成が検査入場中に、アクシデントが発生して別の1編成も工場入場したことから、ダブルデッカーグリーン車の編成が不足する事態が発生した。
この日は検査入場していた編成が工場出場した日で、出場後に早速運用に入った。
暫定的にモノクラスで運用された35号折り返しの42号に連結され、同列車は223系の岡山への返却を兼ねて白昼珍しく7両編成で走行した。

マリンライナー35号
予讃線 鬼無駅

マリンライナー42号
予讃線 八十場駅

(2枚とも)
2023年6月26日


瀬戸大橋利用者3億人達成の記念HMを掲出

マリンライナー37号
予讃線 八十場駅
2024年3月7日


 2024年3月16日改正では、特に変更はない。



マリンライナー49方(左)/マリンライナー54号(右)
予讃線 高松駅
2024年3月19日



<小ネタ>

〜クロ212形の座席〜

 1988年4月改正を機に登場したパノラマグリーン車・クロ212形は、2+2の4人掛けながら普通列車用のグリーン車としては破格とも言える、1.3mという広大なシートピッチを誇るだけでなく、座席部分が25cm嵩上げされたセミハイデッカ構造となっている。

クロ212の室内
座席部分は25cm嵩上げされている

(2枚とも)
予讃線 高松駅
2000年2月2日
1.3mという圧倒的な広さのシートピッチ

予讃線 高松駅
2000年2月2日


 これは、運行開始当初は座席を窓側に向けた状態で使用することを前提としていたためで、当時の時刻表の巻末座席配置表にも、その旨が記載されている。
 当方所蔵画像では、座席を窓側に向けた状態の室内画像は無いが、辛うじて窓側に向けていることが判別できる画像がある(下)。

JR時刻表1992年3月号より


 時刻表の座席表でも、窓側に向けてセットされている旨が案内・明記されていた。
こんな画像しかないが・・・


 少々判りにくいが、座席を窓側に向けてセットしている様子がなんとか判る。


 このサービス(?)は1992年度まで行われていた模様で、1993年3月改正の時刻表から「窓側に向けてセットしています。」の表記が無くなった。

 このほか213系時代の「マリンライナー」では、最晩年を除いて無料のおしぼりサービスもあり、客室出入口横におしぼりが置かれていた。

 このクロ212形のグリーン席を味わった者の多くが、2003年に登場した5000系のグリーン席に大いに落胆したという噂である(?) ←



〜213系のヘッドマークと方向幕〜

 上記にもある通り、213系時代の晩年になるとヘッドマークの掲出を止めて、それに合わせて正面の方向幕の表示も変更されている。
 この方向幕の変更は貫通型先頭車だけでなく、実は展望グリーン車側も変更されていたが、変更された時期が異なっている。


 1988年4月の運転開始当初から2000年度までは、貫通型先頭車は大きな円形ヘッドマークを掲げて正面の幕は「快速」表示であったが、2001年3月改正を機にヘッドマークの掲出を止めて、正面の幕に「快速 マリンライナー」と表示するようになったのは、既述の通りである。

マリンライナー39号
予讃線 坂出〜宇多津間
2000年11月4日

マリンライナー39号
予讃線 坂出〜宇多津間
2001年6月16日




 一方展望グリーン車のクロ212形についても、実はこれに少し遅れるぐらいの時期に幕の表示が変更されている。

 ただし、変更されたのは「ピンク桃太郎ラッピング車両」のクロ212−5だけで、2001年の8月の登場した夏頃にそれまでの「マリンライナー」表示から、貫通型先頭車と同じ「快速 マリンライナー」表示(+ローマ字併記)に変わっている。
 しかし、遅くとも2002年5月以降2003年7月までの間に、元の「マリンライナー」表示(ローマ字表記無し)に戻されている。


マリンライナー40号
予讃線 高松駅
2001年9月16日

マリンライナー10号
予讃線 香西〜鬼無間
2003年7月26日


 他のクロ212形や「ゆめじ」はこの間もずっと「マリンライナー」表示のままであり、何故5号車だけが「快速」文字入りの物に、しかも一時的に交換されていたのか、不明である。


マリンライナー29号
山陽本線 岡山駅
2001年9月15日

マリンライナー39号
予讃線 高松駅
2001年9月16日

マリンライナー14号
予讃線 鴨川駅
2002年4月20日


 実はこの変更が行われた時期は、丁度小生が四国を離れていた頃だったのであまり頻繁に撮影できず、詳細な変更時期の特定が出来ていないことをご容赦願いたい。



<私見>

 私的には、現状でもほぼ不満点はないが、設備面に関しては以前の213系編成の方が良かったと思える。

 グリーン車はシートピッチが30cmも狭くなっているし、自由席車も「転換クロスシート」といいながら実際には半分以上の座席が固定式となって窓側席の肘掛けも廃止されてしかも掛け心地も悪化し、そのうえ関西では一部で不評を買っている折りたたみ座席までそのまま採用するなど、設備面では間違いなく213系編成に比べて大幅にグレードダウンしている。
 客室窓も、日差しはカーテンかブラインドで遮ればそれで充分なのだから、着色ガラスなどというくだらないモノはやめて、熱線反射ガラスにした方がよっぽど実用的で効果があると思う(夏期は冷房効果も上がるので省エネにつながる)。

 カラーリングに関しても、いかにも本四間を結ぶ列車という感じだった213系に対して、5100形を除いた5000系&223系5000番台は関西の新快速とまるっきり同じで、「マリンライナー」らしさが微塵も感じられない。


 普通車の指定席車がリクライニングシートになったのは評価できる点で、これでやっと通常期510円の指定席料金を払うだけの価値が出たと思える。

 グリーン車は、特に2階部分は私に言わせれば最低で、シートピッチ1mなどというのは今時の特急普通車指定席並みの広さである。しかも普通車よりシートバックが厚いために、事実上の広さは普通車指定席車並みで、こんなに狭くするのなら、せめて1+2の3列配置にするべきである。
 そもそも、コスト低減のために車体設計にあたって首都圏の2階建てグリーン車をベースにしたのが根本的な間違いで、通勤客のみをターゲットにした首都圏グリーン車と、海の上を走り、観光客やビジネス客も視野に入れるべき「マリンライナー」を同じものさしで設計してはダメであると思う。


 運転頻度とスピードに関してはまず文句はなく、データイムはきっちり30分間隔でその上、ほぼ全ての列車が80km/h以上の表定速度をマークしているのは見事である。


 全体的に見れば、相変わらず普通列車(快速列車)としては全国レベルで見ても間違いなくトップレベルにある列車であり、それだけにグリーン車は快適性をもっと強く押し出し、グリーン車以外の車両は京阪神の新快速とは違う独自色を出して欲しかったところである。


 今からでも遅くないから、せめて側面の帯だけでもブルーとライトブルーのツートンに貼り替えて欲しいと切に願う(どうせテープなのだから貼り替えは簡単のはず)。


 とにかく、個人的には車両以外には不満点のない列車である。





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