型 録(室 内)
2000系気動車の室内画像を収録。以前は外観と一緒にしていたのだが、数が増えてきたので分離した。
10年に渡って改良を加えながら量産が続いたというのは、JRの車輌としては異例とも言え、それに伴って室内のバリエーションもいくつか存在する。
運転台には、試作車と量産車の貫通型と非貫通型、それにN2000系の貫通型の5種類がある。いずれも横軸式のマスコンとブレーキを採用して機能的に機器類が配置されて、使い勝手が優先されている。
N2000系では貫通型ながらも高運転台式となって運転士の視界が改善された。
客室は平天井にラインフローを採用して機能的にまとめながら、青系統のシート生地や広いガラスエリアなど清潔感のある明るい開放的な雰囲気を出している。
客 室 (量産車&N2000系) |
|
89年に登場した試作車は、各車でシートの配色が異なっていたが、量産車からは紺を基調としたモケットに統一され、試作車についても同様のモケットに張り替えられている。 客室は基本的にビジネスライクなモノで清潔感があり、すっきりと小綺麗にまとめられておる。 2000系の客室の特徴を簡単に言えば、「ガラス面積が広い!」ことで、南国らしい開放感に溢れた明るい車内が提供されている。 また、普通車は全ての座席に取っ手が着いており、旧国鉄381系以来の振子車輌の伝統(?)を受け継いでいる。 シートはかけ心地が非常に良く、JR在来線特急普通車のシートとしては屈指の出来映えであると断言できる。 ただ、個人的にはシートバックをもう少し大きくした方がさらに良いかな、、、と思うが。 ちなみに智頭急行HOT7000系のシートは、まさに2000系のシートのシートバックを大きくしたような感じで、個人的にはとてもお気に入りのシートである。 量産車とN2000系の相違点としては、N2000ではシートのモケットが変更され、通路部分にはプリント模様が入っているほか、カーテンがそれまでの通常タイプからプリーツカーテンに変更されている。 なおシートモケットとプリーツカーテンについては、量産車についても順次従来タイプからN2000と同じタイプへ、取り替えが進んでいる。 このほか、N2000系ではJR四国の車両として初めて、車椅子対応設備が設けられている。 普通車の窓の大きさは、1,560×825mm(端部の小窓は680×825mm)で、実は8000系の窓よりも天地方向がわずかに大きい。 窓間隔は400mmが基本だが、端部の小窓と大窓の間だけは300mmになっている。 |
|
↓登場時の室内 | グリーン車(登場時) |
2000形のグリーン室。四国の特急車両では初めてのゆったりとした3列配置となり、シート本体もかなり大きめのサイズで相当くつろげる。荷物棚は鉄道車両としては珍しい、航空機のようなクローズドタイプで、いきなり荷物が落ちてくる心配がなかった。 実際に乗車した時には、殿様気分を味わわせて貰った(^^; が、惜しむらくはヘッドホンステレオが無いことか。 |
|
↓オープン荷棚化後の室内 ↓床がフローリング化された 車両も存在する(2006形) | グリーン車(オープン荷棚化) |
当初クローズドタイプだった荷棚は、現在は一般的なタイプに改造されている。 これは荷棚の開閉用のラッチが脱落して乗客に当たるトラブルが発生したためで、1997〜1999年頃に蓋を撤去して通常のオープンタイプに改造された。 床は基本的に絨毯敷きであったが、元松山運転所在籍車の中には8000系と同様なフローリング加工となっている車両もあった。 |
|
↓端部のテーブルは固定式 | グリーン車(リニューアル車) |
2012年から内装リニューアルの始まった普通車に続いて、グリーン車も内装リニューアル改造が実施された車両が出現している。 普通車と同様に、シートモケットの貼り替えのほか、化粧板や床板等が一新されている。 |
|
普通車(量産車) | |
普通車客室内。藍系のシートモケットに寒色系の内装色、天井はラインフローとなっており、大きな側窓と併せて、シンプルで落ち着いた開放的な雰囲気を出している。 写真は改良型の2458形の室内で、客室の半分が指定席、半分が自由席になるので、天井にその旨の案内版が吊されているが、その他の普通車もこれが無い以外は基本的に同じである。 |
|
普通車(量産車:モケット交換車) | |
量産車については、1998年頃からシートモケットがN2000系と同じプリント柄のモノに交換された車輌が増えつつある。 左写真は高松運転所所属の2118形(98年12月27日撮影)で、廊下と荷棚の模様が無いのと、カーテンがプリーツタイプとならない以外はN2000系と見分けが付かない。 |
|
| 普通車(量産車:元アンパンマン車) |
元アンパンマン車両である2005形と2006形は、通常塗装に戻された後も普通車の室内はアンパンマン仕様のままとなっている。 |
|
| 普通車(量産車:リニューアル車) |
2000系量産車も経年20年を超える車両が増えてきた2012年頃から、一部の車両は車内のリニューアル改造が始まっている。 シートモケットの張り替えにとどまらず、カーテンの交換(プリーツカーテン化)、内装化粧板や床面の更新にまで及んでいる。 化粧板と客室通路は木目調の落ち着いたものになり、窓枠および窓間の柱部分がブラックとなっている。 |
|
↓向かい合わせ状態 | 普通車(量産車:元アンパンマン車・リニューアル車) |
元アンパンマン車両でかつ、内装リニューアル済みの2007形の普通室。 |
|
↓一部指定席車 (2458形) | 普通車(N2000系) |
N2000系の普通車客室内。藍系のシートモケットにプリント柄が入り、通路と荷棚部分に柄模様が入った他、カーテンがプリーツタイプに変更されている。 なお、N2000系の中でも2424/2458形は客室デザインは従来の量産車と同じとなっている。 また、一部指定席車の場合は、シートカバーに「指定席」の文字が入った柄のものが使用される。 |
|
| グリーン車シート(オリジナル) |
オリジナルのグリーン車シート。 大きなバケット式のシートでバックシェルタイプ。 クッションは現在のレベルで見ればかなり柔らかめで、ソファ的なかけ心地。 |
|
| グリーン車シート(リニューアル車) |
グリーン車のリニューアル車のシート。 足元の暖房パイプのトンネルに、コンセントが追加されている。 |
|
普通車シート(モケット交換車) | |
量産車のモケット交換車のシート。 N2000系も同じである。 座面サイズは、幅470×最大奥行500mm、シートバックの高さは720mmある。 シートピッチは980mmだが、向かい合わせにした場合は、シートバック背面間でも1,620mmしかなくなってしまい、これはデッドスペースを完全にゼロにすることができない、クロスシート車の悲しい宿命。 しかし、かけ心地は非常に良い。 |
|
普通車シート(アンパンマン車・スケッチシート) | |
2003年の春から、土讃線アンパンマン車両の1号車普通車が窓枠額縁仕様の「スケッチシート」に改装された。 これに合わせて、JR四国車(青アンパン:2007形)は茶色、土佐くろしお鉄道車(赤アンパン:2030形)は黒色の、いずれもレザー(革)シートに変更された。 (JR四国NEWS No.186 2003年4月号より) |
|
高低差 | |
隣に並んだキハ185系との、窓と座席の高さの対比。 キハ185系比で客室床面が145mm低いのに加えて、床面から客室窓までの高さも100mm低く抑えられているため、線路面から客室窓までの高さだと合計で245mmも低くなっている(2000系:1,805mm/キハ185系:2,050mm)。 |
|
2424形 2425形〜 | 車椅子対応スペース(N2400形) |
N2400形下り方に設置されている、車椅子対応スペース。 デッキ部のトイレも、同様に車椅子対応の大型のモノが備えられている。 出入口ドアも、通常の820mmに対して有効開口幅1,000mmと広くなっている。 先行量産車2424形と、2425形以降の量産タイプでは、化粧板や通路のデザインが若干異なる。 |
|
空調ダクト | |
客室内に1ヶ所だけだが、空調ダクトのはみ出している部分がある。 ここは他の席よりもややスペースが狭くなるので、特に指定席を取る場合は要注意。 もっとも、8000系に比べれば張り出しは小さく、しかも2ヶ所ある8000系に対して2000系は1ヶ所のみなので、さほど気にする必要もないかもしれないが・・・・ |
|
LED案内表示 | |
客室出入口上に設置されているLED式の案内表装置。 登場当初は、時折現在速度を表示していたが、8000系登場後にソフト面で共通仕様化されたのか、その後は表示されなくなってしまった。 ちなみに、最大外形寸法は 830×245mm、表示部分の最大サイズは 530×200mmほどである。 号車表示は10号車以上の2桁表示には対応していない(ようだ)。 号車表示と時計はデジタル式だが、「指定席/自由席」表示は、実はLEDの上に切り抜き文字板をあてがってあるだけである。 下半分のスクロール部分のLED数は、16×128個。 N2000系の表示装置も同一仕様。 どうやらLED表示パネルは、16×16という基本サイズがあって、他のはそれを適宜組み合わせているようで、現に車体に取り付けられている側面の案内表示装置のLED数も、2000系に限らず8000系や5000系についても、縦横ともに全て16で割り切れる数だけ並んでいる。 ちなみに8000系の場合は、寸法的には同じだが若干仕様が異なり、全てLEDで表示するようになっている。 (8000系の表示装置) |
|
リニューアル車トイレ | |
車椅子対応タイプ以外の通常のトイレは、従来は和式であったが、リニューアル車は洋式トイレに更新されている。 |
|
↓ 2424形 ↓ 2426形 | 車椅子対応トイレ |
N2400形後位側に設置されている、車椅子対応トイレ。 落成当初は2000系中唯一の洋式トイレであった。 出入口は、2424形のみ手動式で、2425形以降の量産タイプはタッチオープンによる自動開閉ドアとなり、内部もベビーシートが装備されるなど、若干仕様が異なる。 |
|
車椅子対応トイレ向かい側 | |
向かい側には、洗面所の他、男子小便所が設けられている。 洗面所左側のスペースには、床置きされた水タンクが設置されている。 |
|
↓通常車両 ↓リニューアル車 | 洗面所 |
トイレ向かい側にある洗面所。 左画像はN2400形で、向かって右側に男子小便所が隣接している。 なおN2400形の中でも、2424形だけは男子小便所が無い。 量産車登場時は洗面所に冷水器と紙コップが備えられていたが、現在は撤去されている。 (↓1990年12月25日撮影の「しおかぜ5号」1号車・2004形の洗面所) |
|
↓多目的室 ↓室内の様子 ↓「宇和海」のサイクルルーム」 |
多目的室(旧喫煙室) サイクルルーム(「宇和海」のみ) |
2007年から、高知運転所所属の2100形の一部に設置の始まった、喫煙ルーム。 従来の洗面所部分を全て潰して、そのスペースを喫煙室にしていたのだが、、、、、狭い(^^; 2008年11月末時点で、2103、2105、2106、2115、2116の5両に設置されているのを確認済みで、通常はグリーン車を連結した「南風」の3号車に組み込まれていた。 2009年3月改正までの時点で、さらに高知運転所配置の2100形全車(2130形を含む:8両)と、高松運転所配置のN2450形全車(6両)、それに松山運転所配置のアンパンマン仕様の2100形全車(4両)に設置済みなのを確認。 同改正の時刻表から、充当列車の当該車両に喫煙ルームのある旨が明記されていた。 だが、その後2011年には早くも喫煙ルームは全廃され、多目的室として案内されているが、時刻表上には一切表記が無い。 入口扉部分には、禁煙マークと、「携帯電話等の通話にご利用ください」と書かれたシールが貼られている 「宇和海」に充当される松山運転所配置の2100形については、この多目的室がサイクルルームに再改造されており、専用の指定席券を購入することで自転車を運ぶことが出来る。 → (公式プレス) ↓サイクルルームの設置された車両は、出入口ドア横のLED下に自転車マークのシールが貼られている(画像は2116形)。 なお、N2450形の現在の多目的室部分には、カード式の公衆電話が設置されていたが、2000年代に入ってほどなくして撤去され、喫煙室が設けられるまでの間はその痕跡が残っていた。 ↓N2450形後位側デッキの、公衆電話撤去痕。 |
|
↓2000形 (1990年12月25日撮影) ↓N2450形の撤去後 (2001年9月15日撮影) ↓2007形 (2019年9月30日撮影) | (旧)電話コーナー |
TSE2201形と量産2000形、それにN2450形の後位デッキには、かつてカード式公衆電話が設置されていた。 その後の携帯電話の普及等に伴い2000年頃までには撤去された。 特にN2450形は落成後わずか1〜2年での撤去となった。 各形式とも屋根上に電話用のアンテナを装備しており、しばらくは全車そのままであったが、N2450形以外は後年撤去された車両が多い(→「ネタ」の該当項目参照)。 「跡地」は、2000形については基本フリースペースとなり、アンパンマン車両はアンパンマンスタンプが設置されていた。 N2450形については、上述の通り2009年に喫煙室となった後、2011年に多目的室となって現在に至っている。 2201形については、電話撤去後はずっと基本不使用のままだったようである。 |
|
↓2004形 ↓2130形 ↓TSE2101形 ↓再掲画像だがN2450形 手すりの右に灰皿が チラリと写っている ↓2426形の灰皿撤去跡 | 出入台デッキ(の灰皿) |
出入台デッキ部分には、登場時には灰皿が設けられていた。 量産車とN2000系は後位側デッキ左側(=第4位側に1つ。TSEの場合は後位デッキの両方(=第3&4位側)に1つづつが設置されていたが、禁煙志向の高まりなどを受けて2000年代の後半に撤去された。 現在も、灰皿があった場所には4つのネジ穴の跡がはっきりと残っている。 |