2700系 詳細画像


 2700系の室内や機器類等の詳細画像。


外  装

乗務員室

客 室 内

小ネタ



外  装



 2600系を踏襲した前面デザイン。
 アゴが引き締まっているだけでずいぶんと印象が変わるのが判る。

 ヘッドマークデザインと表示装置は2600系と同じ。


 運転席のダブルワイパーも2600/8600系を踏襲。


 前頭部を真横から。
 塗装によって前面のスラント角を実際以上に大きく見せている。


 反対サイド。


 2750形と2700形の連結部。


 2750形の妻面検査標記等。
 2000系に比べてかなり重くなっている。


 往年のアンチクライマーを彷彿とさせる謎装備。


 連結器は、2000系と同様の電気連結器併用密着連結器。
 ただし、電気連結器は2000系とは信号線の位置が異なるため、併結協調運転は出来ない。


 妻面の連結器も、2000系と同様に密連+電連となっており、柔軟な編成が可能となっている。


 側面LEDの、出入口ドア脇にある小サイズの方。
 号車と指定・自由席の別を表示。

 高速シャッターでは切れる低速表示タイプ。
 他のLEDも全て同様。


 幕板部にある大サイズのLED。
 列車種別と列車名、行先を表示。




 2800形の車体中央付近にある溶接痕。
 ここで車体を接いでいるのであろうか?

 他の各形式も側面のナンバーが記載している付近に同様な溶接痕がある。


 普段は見ることの出来ない、後位妻面。

 しかし四国においては、工場への点検入出場では単行尻切れトンボで走ることが常となっており、比較的容易に観察することが出来る。



南  風15号
土讃線 琴平〜塩入間
2019年12月29日

南  風14号
土讃線 坪尻駅
2019年12月12日

南  風14号
土讃線 讃岐塩屋〜多度津間
2019年12月29日


 前照灯の点灯パターンは3つを確認済み。

 腰部の内側灯のみ点灯と、全6灯点灯のほか、おでこの2灯を点灯させないパターンもある。




乗 務 員 室



 2750形の運転台。
 他形式もこれと同じ。

 2600系とほぼ同じで、床面から2段上がる高運転台となっている。


 横から。

 2000系に倣った横軸2ハンドル式の主幹制御器。


 運転助手席側。



客 室 内

2800形(下り向き先頭車)

 下り向き先頭の半室グリーン車。


 2800形グリーン室。シートピッチは1,170mm。
 カーテンはフリーストップのロールアップ式。

 8600系とほぼ同じタイプ。


 昼と夜ではがらりとイメージが変わる。
 雰囲気重視なら、是非夜乗車することをお勧めする。


 端部の1/4番席は大型のパソコンテーブルを備える。


 二人がけ座席の片方を一杯まで倒した状態。


 一人がけ座席を一杯まで倒し、レッグレストを最大まで引き出した状態。


 アームレスト内蔵のテーブルを引き出した状態。


 二人がけ座席のセンターアームレストに設置されたボタン類とコンセント。


 一人がけ座席の場合は、座った状態で右側のアームレストに設置されている。


 二人がけ座席下の電気暖房装置。


 同じく一人がけ座席。


 後位側に設けられている普通室。シートピッチは980mm。

 8600系と同様に、座席列番号を2000/8000系に合わせるために5/6番席が欠番となり、普通席は7番席から始まる。


 リクライニングを倒した状態。
 アームレスト先端部にはコンセントがある。

 2600/8600系と同様に、フットレストは省略されている。


 向かい合わせにした状態。



 普通席も同様に端部は大型パソコンテーブルを装備。


 車内の案内LED表示装置。
 2600系と同様なタイプで、現在時刻の表示は省略されている。


 普通室の天井。
 照明は全てLEDとなっている。


 後位側デッキ。客室側から端部を見たところ。

 左側手前に大型荷物置き場、その奥に多目的室がある。多目的室は通常時施錠されており、利用したいときは乗務員に申し出る。
 右が側手前に洋式トイレ、奥は機器室となる。


 洋式トイレの内部。


 大型荷物置き場。



2750形(下り向き先頭車)

 全室普通車の下り向き先頭車。


 室内の様子。
 座席や配色などは2800形普通室と同じ。


 一部指定席車の場合は、指定席のシートカバーが差別化されている。
 天井には指定席/自由席の座席列番号案内がある。


 前位側デッキ、貫通状態での運転台付近の様子。


 こちらはクローズ状態。
 正面の仕切ドアは、貫通時は運転席側を閉鎖する形になる。



 ちなみに、アンパンマン車両はブラインドもアンパンマン仕様になっている。
 夜間およびトンネルの多い区間で、運転席側と扉側のみ下ろしている。


 後位側デッキ。
 多目的室は無く、その分2800形に比べて奥行きが短い。


 洋式トイレは2800形の物と全く同じ。


 大型荷物置き場も同様に同じタイプとなっている。




2700形(上り向き先頭車)

 全室普通室の上り向き先頭車。


 室内の様子。

 後位側(下り方)の端部に車椅子用スペースが設けられ、その部分は座席が省略されている。
 また、車椅子スペースの通路を挟んで隣の1番C/D席は、コンセントがアームレストの先端ではなく根本に設けられている。


 車椅子固定スペース。


 車椅子スペースのある側はデッキとの仕切り扉も幅広タイプの片引戸となっている。

 ちなみに、2000/8000系では両開きドアであった。


 車椅子スペース隣の列の二人がけ座席(2番A/B席)は、2600/8600系と同様にセンターアームレストにテーブルが内蔵されている。


 カーテンはグリーン室と同じフリーストップのロールアップ式だが、座席1列分ごとに分割されている。



 後位側デッキ。
 多機能トイレがあり、出入口ドアが通常より240mm幅広の940mmとなるほか、通路も広く取られている。


 そのため、大型荷物置き場は他の2形式に比べて奥行きが若干浅くなっている。


 多機能トイレ内部。
 ドアの開閉は押しボタン式。




小ネタ


 まだまだ新しい2700系であるが、早くもいくつかの小さな変更が見られる。



<冷却系統改良>

 2000系の後継車両として満を持して登場した2700系気動車であるが、登場当初はオーバーヒートが頻発した。
 特に、土讃線特急「南風」の大半と高徳線特急「うずしお」のほぼ全列車を置き換えた2020年度には243件と多発し、殊に7月15日から8月31日までの間で232件と夏期に集中し、そのほぼ全てが土讃線・多度津〜高知間で発生していた。

 
 参考:日本鉄道車両機械技術協会刊行「R&m」誌より


 オーバーヒートによる列車遅延等も発生したため、問題解決を図るべくJR四国では対策を検討することにした。


 2700系の床下機器図面を見ると、ラジエーターは第1−4位側面床下の線路方向に2台が直列に配置されており、外から吸入して内側へ排気排熱する構造になっている。


 2021年3月17日に、2703形を使用して高知運転所内で定置試験を行った結果、ラジエーターファンの稼働に伴ってラジエーターと車体の間の隙間から排気が前面に回り込み、吸入空気の温度上昇に影響していることが判明した。
 そこでラジエーターの側面と、上部の車体との隙間部分に排風の回り込みを防止するカバーを設置(延長)した。

 さらに、冷却回路に組み込まれていたサーモスタットと水温継電器についても、設定温度と実際の動作温度に差異が認められたことから、その誤差を考慮した温度設定に変更した。


 これらの対策の結果、2021年度にはオーバーヒートの発生件数が8割以上も減少し、対策の進んだ2022年度にはさらに改善された。



参考:日本鉄道車両機械技術協会刊行「R&m」誌より


 2022年度中には全車について対策工事施工完了した模様である。


 手持ちの画像で落成当初と現在とでラジエーター回りを確認すると、確かに左右と上部にカバーが追加(延長)されているのがよく判る。


落成当初の2711形のラジエーター回り
対策済みの2753形のラジエーター回り



 (個人的私感)

 2020年度のオーバーヒートのデータを見て、この時点では「南風」は14往復中の9往復、「うずしお」は16.5往復中の11.5往復が2700系で運転されていたが、高徳線でのトラブルはほとんど無く、ほぼ全てが土讃線・多度津〜高知間で発生していると言って良い状況である。このことから、再加速等で力行する機会が非常に多いにもかかわらず列車速度がさほど上がらない(最高速度で走れる区間がほとんど無い)うえにトンネルが非常に多いことも、ラジエーターの排熱対流に悪影響を及ぼした可能性があるのではないだろうか。
 もしそうであれば、改めて土讃線の線路条件の厳しさを思い知らされる感じである。



<排気管変更>

 2700系は1500形等と同じクリーンディーゼルエンジンを搭載しているが、1500形に比べると屋根上をはじめとした車体の煤汚れが激しい。
 特に妻面(連結面)付近の汚れが凄まじく、営業運転開始から1ヶ月後の車両でもこのような状況であった。
 現在は、検査出場直後でもない限りは屋根上も妻面も真っ黒の車両ばかりであるが、これを少しでも改善するためか、排気管の吐き出し方向を変更する改造が2021年度から始まっている。


 当方手持ち画像で最初に確認できるのは、2021年11月18日の2702形黄色アンパンマン車(高知運転所配置)で、この時は後位側のマフラーのみ、先端の曲がっている部分をカットしていた。
 同車は8月19日撮影時点では通常のマフラーなので、その間に改造されたことになる。
 その後2022年3月までの間に、前位側マフラーについても先端の曲がった部分がカットされ、同様の改造が他の3両の黄色アンパンマン車両(全て高知運転所配置)にも波及しているのが確認され、とりあえず2021年度の改造はこの4両のみにとどまっている模様。


 2022年度後半になって一般車にも波及が始まったが、後位側の改造内容が変わっており、先端部分をより根本に近いところからカットして、まさしく竹槍のように高く突き出すように延長継ぎ足し改造をしている様子が見て取れる。
 恐らく黄色アンパンマン車両の状況を検証した上での変更であると思われる。

 2022年度は、11月中(?):2711形、11月30日:2762形、12月1日:2805形、12月9日:2806形、12月26日:2709形 と、年末までに5両の施工が確認されている(日付がはっきりしている物は、いずれも検査出場の際に確認できたもの)。


 2022年末時点では、合わせて9両の改造施工が確認されているが、すべて高知運転所在籍車両ばかりであり、恐らくはトンネル区間が多いことから効果が期待できるためであろうと推察される。

 2022年度末(2023年年明け)からは、高松運転所在籍車にも波及が始まり、2023年7月末時点で既に半数近い車両が改造済みとなっている。

 2024年6月末時点では、高知運転所在籍車25両のうち23両(くろてつ車を含む)、高松運転所在籍車は16両中8両が改造済みとなっている。




 通常の前位側マフラー先端部。


 先端の曲がっていた部分のみがカットされた、2804形の前位側マフラー。


 普通に駅ホームから撮った場合の見え方比較。
 ”囲い”部分からの突出の有無で比較的容易に判別可能。


 此方は後位側マフラーの通常タイプ。



 2022年3月18日の検査出場の際に、先端部分がカットされているのが確認できる、2804形黄色アンパンマン車。

 丁度、通常タイプの折れ曲がり部分でカットされているのが判り、明らかに排気方向を真上にしようという意図が見える。


 此方は”先チョン”の上でさらに継ぎ足し改造した、2806形の”竹槍マフラー”。

 2022年度後半から新たに出現しているのは全てこのタイプ。



 なお、2022年11月30日に検査出場した2762形のみ、謎の取付台座と小型カメラ用の機器が取り付けられているのが確認されており、排気の流れ等を検証するための記録ではないかと想像される。

 検証結果次第では、さらにマフラーの形状が変わる可能性もあるかもしれない。






 2000系もネタ集のページの中に書いてあるとおり、世代を経るごとに順次マフラーが長くなってきた過去があり、2600/2700系では折れ曲がりマフラーで新たな境地を開くかに見えたが、結局は2000系N2000系のような竹槍マフラーに”先祖返り”しそうな様相になってきている。





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