予土線 <若井〜北宇和島>


十川〜半家間
2006年5月28日撮影


<沿革/概要>

 予土線は江川崎を境に、東西で線路規格が大きく異なる。

 宇和島〜吉野生間は大正年間に私鉄の宇和島鉄道として開通していたのを1933年8月1日に買収して国有化し、宇和島線という名称を与えたもので、軌間幅も762mmのナローゲージであったのを、1067mmに改軌している。その関係で線路規格が非常に低く、200Rの急曲線や33‰の急勾配が随所に存在し、列車の最高速度は時速65キロに抑えられる。

 戦後の1953年に江川崎まで開業したが、線路規格は低いままであった。


 1974年に鉄道建設公団の手によって江川崎〜若井間が開通した。この区間は蛇行する渡川(四万十川)流域を近代的な高架橋や鉄橋で突き抜け、各駅停車でも表定速度50km/h以上で駆け抜ける。

 江川崎から東の区間は、概ね国道や川よりも予土線の方がショートカットしているが、近年は国道の整備も進んで、予土線よりも国道の方がさらにショートカットしている区間も出現している。



 戸籍上、現在の予土線の起点は若井駅(窪川側)で、列車も窪川方面から宇和島方面へ向かう列車が「下り」列車となっているが、予土線の「0km」のキロポストは宇和島側の北宇和島駅にあり、線内のキロポストは全てこれを起点に建植されている。

 これは、上記のように当初は宇和島側を起点とする私鉄として開業していたのを国有化したため、キロポストは後年の延長区間も含めてそのまま宇和島側を起点としたが、江川崎〜若井間が開通した際に、路線名を現在の予土線に改称し、このときに両端で接続する路線(予讃線・土讃線・中村線)と、列車の「下り」「上り」の向きを合わせるように変更したためである。


 予土線は起終点駅を含めた全ての駅にみどりの窓口が設置されていない。同様の路線は予土線のほかには、2008年時点では岩泉線(岩手県)が存在するのみであったが、同線の廃止により現在は予土線のみとなっている。
 また、2010年10月1日をもって江川崎駅が無人化されたことから、予土線の駅は起終点を含めて所属する全ての駅が無人駅となっている。


 蛇足ながら、本来予土線は国鉄末期の赤字ローカル線廃止が検討された際に、第2次特定地方交通線として廃止対象路線となるはずであったが、当時は平行道路の未整備を理由に廃止を免れたという経緯がある。
 しかしながら2018年現在、平行道路の整備もかなり進捗し、特に江川崎から東の区間においては平行国道はわずか数百mの区間を残して2車線以上の綺麗な道路が整備され、さらには当時よりも沿線人口及び利用者の減少が著しく、いよいよ路線廃止も検討されかねない状況となっている。





<列車&車両>

 優等列車の運転はなく、各駅停車のみの運行となっている。

 2022年3月12日改正までは、朝夕の通学時間帯に車掌乗務の列車がわずかに残っていたが、同改正以降は全ての列車がワンマン運転となっており、キハ32形またはキハ54形で運転されている。


 窪川〜宇和島間の全線通しの列車のほか、宇和島側からは江川崎または近永で折り返す系統が設定されている。
 また上り1本のみ江川崎〜窪川間の列車がある。


 このほか行楽シーズンを中心に、トロッコ列車やホビートレインなどが運転される等の利用客増加の為の努力が払われているが、沿線人口の減少と平行道路の整備が著しく、苦戦を強いられている。



※駅名をクリックすると、各駅ごとの詳細情報のページを開きます
営業キロ駅番号駅名(読み)開業年月日電略標高ホーム形態主な施設備考

K26
TK26
(窪川)






0.0 G27
TK27
若井わかい1963.12.18ワカ204 m 片面
1面1線

駅舎無し

-(信)川奥かわおく1974. 3. 1オク164 m

信号場
5.8G28家地川いえぢがわ1974. 3. 1イエ186 m 片面
1面1線

駅舎無し
10.7G29打井川うついがわ1974. 3. 1ウツ167 m 片面
1面1線

駅舎無し
17.6G30土佐大正とさたいしょう1974. 3. 1タシ151 m 島式
1面2線


26.5G31土佐昭和とさしょうわ1974. 3. 1シヨ112 m 片面
1面1線

駅舎無し
31.0G32十川とおかわ1974. 3. 1トカ98 m 片面
1面1線

駅舎無し
元は島式1面2線
38.9G33半家はげ1974. 3. 1ハケ63 m 片面
1面1線

駅舎無し
42.7G34江川崎えかわさき1953. 3.26エカ52 m 島式
1面2線

曲線ホーム
45.4G35西ヶ方にしがほう1953. 3.26ニホ50 m 片面
1面1線

駅舎無し
51.3G36真土まつち1960.10. 1ツチ67 m 片面
1面1線

駅舎無し
53.0G37吉野生よしのぶ1923.12.12ヨシ77 m 対面
2面2線
曲線ホーム
55.3G38松丸まつまる1923.12.12マル85 m 片面
1面1線

元は1面2線
駅舎内公共浴場
58.8G39出目いずめ1923.12.12イメ110 m 片面
1面1線

駅舎無し
60.4G40近永ちかなが1914.10.18チナ124 m 島式
1面2線


62.5G41深田ふかた1914.10.18フカ126 m 片面
1面1線

駅舎無し
65.4G42大内おおうち1914.10.18オウ138 m 片面
1面1線

駅舎無し
66.9G43二名ふたな1914.10.18フタ142 m 片面
1面1線

駅舎無し
69.1G44伊予宮野下いよみやのした1914.10.18ノタ150 m 対面
2面2線
曲線ホーム
70.0G45務田むでん1914.10.18ムテ149 m 片面
1面1線

駅舎無し
76.3 U27
G46
(北宇和島)


9 m




<四万十川に沿って (1)>

 静かな山あいを、四万十川を見ながらのんびりと走るトロッコ列車。


(土佐大正〜土佐昭和間)

<第4四万十川橋梁>

 予土線最長の橋梁、第4四万十川橋梁。全長347m。

 鉄道建設公団(当時)の手で作られた近代的なトラス橋で、蛇行する四万十川と国道を横目に一直線に横切っていく。


(土佐大正〜土佐昭和間)



<四万十川に沿って (2)>

 予土線の東側半分は、概ね四万十川に沿って走る。
 そこかしこに景勝地が広がる。

 ただ、蛇行する川と国道に対して予土線は比較的直線的なルートを通る。


(土佐昭和〜十川間)

<第6四万十川橋梁>

 半家駅のすぐ窪川側にかかる、第6四万十川橋梁。全長269m。

 十川〜半家間にかかる8本の橋梁の一つで、予土線の橋梁としては3番目の長さ。


(十川〜半家間)

<第1吉野川橋梁>

 江川崎駅のすぐ東側、広見川にかかる橋梁だが、名称は何故か「吉野川橋梁」。

 全長194mの円弧線形のガーター橋。


(半家〜江川崎間)

<奈良川橋梁>

 鬼北町内を流れる奈良川にかかる、奈良川橋梁(全長131m)。

 開業時期の古いこの区間では珍しいコンクリート橋となっている。


(近永〜出目間)

<急勾配>

 予土線の宇和島側は軽便鉄道規格の私鉄線で開業した経緯があるため線路規格が低い。

 北宇和島で予讃線から分岐すると務田までの約6kmで140mの高低差をクリアするため、30‰を超える急勾配が立ちはだかる。


(務田〜北宇和島間)

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