予讃線 (2) <伊予西条〜松山>

<沿革>

 伊予西条〜松山間の建設ピッチは速く、1921年に伊予西条まで開通した後、6年で線路は松山まで達した。しかしながら那覇を除いた県庁所在地で昭和になってから国鉄駅が出来たのは松山だけで、全国で一番最後になった。


 各区間の開業の時系列については「予讃線(1)」の<沿革>を参照。





<概要>

 路線は高縄半島を大きく迂回するルートを取ったため、国道11号や高速道路に比べると約30キロほど大回りとなり、自家用車や高速バスに対して所要時間の面でハンデとなっている。
 その点、今治での乗降が多いのは救いで、同市はこのルート上において無くてはならない重要な位置を占めている。

 伊予西条から今治までは路線は比較的内陸を走り、海岸に出るのは大西からであるが、それでも海を入れて綺麗に撮るのは意外と難しく、場所探しにはいつも苦労する。

 松山は四国最大の都市で、JR松山駅は2024年9月29日に2面4線の規模を持つ高架駅が開業して面目を一新した。


 予讃線の電化工事の際は、トンネル断面の小ささが大きな問題となった。国鉄時代の電化では、中央本線や身延線が小断面トンネルとして有名であるが、予讃線のトンネルはそれよりもさらに小さく、そのために路盤を掘り下げるなどの対策を行ったが、それでも充分な空間を確保することが出来なかった。
 そのため、トンネル区間では2本のトロリ線を平行に吊架するツインフィーダ方式が採用され、これによって架線高さ4,250mm以上を確保している。





<列車&車両>

 伊予西条〜松山間の旅客列車は特急と各駅停車の2種のみで、特急は「しおかぜ」「いしづち」と「モーニングEXP松山」を合わせて17往復(併結列車は併結状態で1本と計算)が運転される。


 各駅停車は、2008年3月改正以降は全て7000系に一本化され、気動車による普通列車は松山以南限定、また7000系以外の電車は伊予西条以東限定となっている。
 7000系は日中はワンマン単行運転が多く、ラッシュ時には最大で4連となる。
 基本的に松山運転所所属車が充当されるが、高松運転所所属車も松山までの定期運用があり、両車の併結運用もある。

 伊予西条〜今治間の普通列車は日中毎時1〜2本だが、今治からは毎時2本、さらに伊予北条折返しの区間列車が加わる伊予北条〜松山間は毎時2〜3本程度の各駅停車が確保されている。
 高松〜松山間を直通する普通列車は1往復のみ存在する。このほかに、観音寺や伊予西条でそれぞれ列車番号が変わってしまうが時刻表上も直通として記載されている列車が1往復設定されている。

 7000系は最高で110km/h走行を行っており、単線区間を単行のワンマン電車が110km/hで突っ走っているところなどは、日本中探してもそうあるモノではない。
 ただし、トイレの設置されている車両が皆無のため、この区間の普通列車は全てトイレ無しとなっている。



 貨物列車は、高松〜松山間の1往復のみで夜間帯の運転となるため、この区間では日中に貨物列車の姿を見ることは出来ない。
 編成は以前は12両であったが、現在は所定9両編成で運転されており、岡山機関区のEF210形が牽引している。



※駅名をクリックすると、各駅ごとの詳細情報のページを開きます
営業キロ駅番号駅名(読み)開業年月日電略標高ホーム形態主な施設備考
114.3Y31(伊予西条)






117.8Y32石鎚山いしづちやま1929. 7. 2シツ3 m 島式
1面2線


120.3Y33伊予氷見いよひみ1961. 6. 1ヒミ12 m 片面
1面1線

駅舎無し
121.6Y34伊予小松いよこまつ1923. 5. 1イコ12 m 対面
2面2線

124.5Y35玉之江たまのえ1963. 2. 1タエ7 m 片面
1面1線

曲線ホーム
駅舎無し
126.8Y36壬生川にゅうがわ1923. 5. 1ニユ3 m 併用
2面3線

屋跨

130.2Y37伊予三芳いよみよし1923.10. 1ミヨ10 m 対面
2面2線

137.8Y38伊予桜井いよさくらい1923.12.21サク4 m 対面
2面2線

141.6Y39伊予富田いよとみた1924. 2.11トタ7 m 対面
2面2線

144.9Y40今治いまばり1924. 2.11イマ12 m 併用
2面3線
み旅弁
EV ES
高架駅
149.6Y41波止浜はしはま1924.12. 1ハハ4 m 対面
2面2線

152.3Y42波方なみかた1960. 3. 1ナミ6 m 対面
2面2線

曲線ホーム
駅舎無し
156.4Y43大西おおにし1924.12. 1オニ2 m 対面
2面2線
昔は2面3線
161.9Y44伊予亀岡いよかめおか1925. 6.21カオ4 m 併用
2面3線

165.9Y45菊間きくま1925. 6.21キク4 m 対面
2面2線
昔は2面3線
曲線ホーム
170.6Y46浅海あさなみ1926. 3.28アミ4 m 対面
2面2線

173.8Y47大浦おおうら1990.11.21オラ? m 片面
1面1線

駅舎無し
ホームは側線側
本線側はホーム無
176.9Y48伊予北条いよほうじょう1926. 3.28イホ3 m 併用
2面3線

留置側線有
179.1Y49柳原やなぎはら1961. 6. 1ヤナ 6 m 片面
1面1線

駅舎無し
180.3Y50粟井あわい1927. 4. 3アイ4 m 対面
2面2線

182.3Y51光洋台こうようだい1986.11. 1コヨ4 m 片面
1面1線

駅舎無し
184.9Y52堀江ほりえ1927. 4. 3ホエ3 m 対面
2面2線
貨車再利用の駅舎
187.0Y53伊予和気いよわけ1927. 4. 3ワケ4 m 対面
2面2線
昔は2面3線?
190.7Y54三津浜みつはま1927. 4. 3ミツ4 m 対面
2面2線
昔は2面3線
194.4Y55松山まつやま1927. 4. 3マツ17 m 併用
2面3線
み旅
屋跨
EV
駅弁販売駅



<加茂川橋梁>

 伊予西条を発車するとすぐに、加茂川橋梁を渡る。
 全長237m。

 予讃線の沿線は大河が無く、全長200mを超える橋梁は、この加茂川橋梁を含めて4本しかない。


(伊予西条〜石鎚山間)

<小松付近>

 石鎚連邦を背に、伊予小松〜玉之江間の大カーブを走る、特急「しおかぜ・いしづち」

 線路は600Rの曲線で、下り列車は西日本最高峰の石鎚山を背にしながら、北に90度向きを変える。

 以前は国鉄形ディーゼルカーが90キロで通過していたこのカーブを、現在の2000・8000系振子特急が車体をフルバンクさせながら120キロで突っ切っていく様は、はたから見ていても列車に乗っていても実に楽しい(^^;



<中山川橋梁>

 小松の大カーブを曲がったすぐのところにかかる、中山川橋梁。
 予讃線の橋梁ではTOP3に入る長さとなり、全長258m。

 この前後には洪水に備えた避溢(ひいつ)橋があり、上り方に中山川第一避溢(全長82m)、下り方に中山川第二避溢(全長30m)がそれぞれ続いており、全て合わせると400m近い長さとなる。


(伊予小松〜玉之江間)

<川のトンネル>

 壬生川〜伊予三芳間にある大明神川トンネルから飛び出す、8000系「しおかぜ+いしづち」。
 この付近の大明神川は天井川となっており、これは全国的にも珍しい、川の下をくぐるトンネルで、全長66m(正確には65m53cm)。

 予讃線のトンネルの例に漏れず断面が非常に小さいことなどもあり、8000系では通過速度が95km/hに制限される。
 屋根高さが3,355mmしかない8000系と比べても、ご覧の通りの低さ。


 トンネルをくぐった先の下り方に伊予三芳駅があるが、同駅の場内信号機はトンネル手前からでも見えるように設置位置が低くなっている。
 

 空頭余裕が無いため、架線もお約束のツインフィーダとなっている。
 


 ちなみに、トンネル真上の川の様子はこう→
 降雨後以外は普段ほとんど流水は無い。


(壬生川〜伊予三芳間)


<浅海付近>

 海側に風光明媚な瀬戸内海、山側にミカン山を見ながら走るこの区間は、リアス式海岸に沿った急曲線の連続する区間。
 2000・8000系の振子が威力を発揮する。


(浅海〜大浦間)

<海岸線>

 松山都市圏に近い区間でも意外と海沿いを走行する区間がある。

 この区間はもう少し内陸側をトンネルで通るルートで計画されていたが、地盤等の関係から海沿いを一部埋め立ててトンネルを避けるルートに変更になり、その分曲線もややきつくなっている。


(光洋台〜堀江間)

<オーバークロス>

 松山の手前、三津浜を出ると、伊予鉄・高浜線の複線を乗り越す。

 伊予鉄の方は西衣山駅があるが、JRには駅は無い。そのためこの場所はこれまでに何度か、乗換駅設置の構想が上がったことがあるが、いまだに実現していない。
 実現しない理由の噂は色々と聞くのだが・・・(以下自粛)。


(三津浜〜松山間)


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