<沿革>
予讃線に次ぐ四国第二の幹線(であるはず)の土讃線。 予讃線の多度津から分岐して南に向かい、徳島県の西端をかすめて険しい四国山地を横断、さらに高知県の西側半分をほぼ縦断して窪川まで約200kmの長さを持つ。線路はその先さらに、旧国鉄中村線を含む土佐くろしお鉄道線を経由し、高知県最西端の宿毛まで伸びている。 旧讃岐鉄道が琴平まで開通した後、線路延長は遅々として進まなかったが、ようやく大正後期の1923年に琴平〜讃岐財田間が開通、県境の猪ノ鼻峠を当時四国最長の猪ノ鼻トンネル(3,845m)で攻略し、当時既に全通していた徳島線と結ばれたのは、昭和に入った1929年のことであった。 以下に、現在の土讃線区間全区間の開業状況を記す。
※ 阿波池田〜高知間における土砂災害対策に伴う線路変更については、「土讃線(2)」の項を参照 予讃本線に高松桟橋〜宇和島間の準急が登場した同日、1947年6月29日に高松桟橋〜高知間の準急が登場。 初の愛称付き準急は、1950年10月1日改正で高松桟橋〜高知間に設定された「南風」(実際の運転開始は12月1日から)。 多度津〜阿波池田間は1967年3月1日からCTCの運用を開始。 国鉄在来線のCTC導入は伊東線が最初であるが、本線クラスでは土讃線が初であった。 なお、CTCセンターは阿波池田駅構内に設置され、同年7月1日は阿波池田〜高知間もCTC化された。 <概要>
琴平まではほぼ平坦で急曲線もなく、列車のスピードも速いが、琴平を過ぎれば山間の様相を呈し、讃岐財田〜箸蔵間は四国三大難所の一つ(だった)といえる猪ノ鼻峠を越える。 讃岐財田〜坪尻〜箸蔵間は、猪ノ鼻トンネルを含め9カ所のトンネル工事で10人の死者と2000人の負傷者を出し、四国の鉄道建設の中でも最大の難工事であったとされている。 箸蔵から佃にかけて線路は大きく迂回して高度を下げ、土讃線最長の吉野川鉄橋(576m)で吉野川を渡って佃に至る。この箸蔵の前後は下り列車の進行方向右手に池田盆地のパノラマが広がり、とても眺めの良い区間であるほか、箸蔵〜佃間には桜並木があり、桜の季節には文字通り「桜の花道」と化す。 国鉄時代から、非力な1台エンジン+1軸駆動のディーゼルカーが猪ノ鼻峠の勾配でスリップして勾配を登れなくなることもあり、特に落葉の季節である秋や霜の降る冬に多く発生した。 JR化後は車輌運用の変更などによって一時収束していたが、1エンジン1軸駆動のキハ32形が運用されていた時期は、スリップで登坂不能になるトラブルがまれに発生していた。 SL時代、貨物列車がこの猪ノ鼻越えにさしかかったとき、車掌が尿意をもよおした。当時の貨物列車に連結されていた車掌車はトイレが無く、かといって列車の速度が遅いので次の停車駅まではまだ相当時間がかかりどうにも我慢できない。 そこで車掌は列車から飛び降りて線路脇で用を足し、それからまた走って列車を追いかけてそのまま飛び乗った、、、、 という嘘のような話があるのもこの猪ノ鼻峠であるが、当時の貨物列車の25‰勾配における均衡速度は20km/h未満であるので、ありえない話ではない。 <列車&車両>
この区間を走行する列車は、特急と各駅停車(一部坪尻を通過する列車もある)に二分される。 定期特急列車は、全てが2000系後継の振子式2700系で運転され、「南風」「しまんと」が合わせて16往復の設定となり、うち2往復が併結列車となる。 高松運転所籍車と高知運転所籍車の混成列車もある。 特急列車はこの他に、週末・多客期を中心に「四国まんなか千年ものがたり」が多度津〜大歩危間に運転されているほか、週末を中心に「サンライズ瀬戸」が琴平まで乗り入れている。 電車普通列車は、高松発着の他多度津折り返しもあり、7200系が主力だが、6000系や7000系も使用される。 編成は単行から4連までで、すべて高松運転所の車両である。 気動車普通列車は全て1000形で運転され、いずれも高知運転所の車両となる。 概ね多度津〜琴平〜阿波池田間のピストン輸送にあたり、高松まで直通する列車は無く、全てがワンマン単行運転となる。 多度津〜琴平間では日中毎時2〜3本の普通列車が確保されているが、県境を越える琴平〜佃間は6往復のみで、特急列車の半分以下の本数しかない。 佃〜阿波池田間は徳島線列車も走行するため、優等列車も含めると1日80本程度の列車が運転されている。 なお、「サンライズ瀬戸」が琴平まで延長運転される当日は、一部の電車列車が徳島運転所所属の1200形または1500形気動車に車種変更されて運転されることがある。 |
営業キロ | 駅番号 | 駅名 | (読み) | 開業年月日 | 電略 | 標高 | ホーム形態 | 主な施設 | 備考 |
0.0 |
Y12 D12 | (多度津) | |||||||
3.7 | D13 | 金蔵寺 | こんぞうじ | 1896.10. 6 | コソ | 19 m |
対面 2面2線 | ||
6.0 | D14 | 善通寺 | ぜんつうじ | 1889. 5.23 | セン | 32 m |
併用 2面3線 |
み 屋跨 | 留置側線有 |
11.3 | D15 | 琴平 | ことひら | 1889. 5.23 | コト | 69 m |
併用 2面4線 |
み 屋跨 | 留置側線有 |
17.7 | D16 | 塩入 | しおいり | 1923. 5.21 | シリ | 148 m |
対面 2面2線 | 跨 | |
21.6 | D17 | 黒川 | くろかわ | 1961.10. 1 | クロ | 122 m |
片面 1面1線 |
築堤上 駅舎無し |
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23.8 | D18 | 讃岐財田 | さぬきさいだ | 1923. 5.21 | サタ | 152 m |
併用 2面3線 | 曲線ホーム | |
32.1 | D19 | 坪尻 | つぼじり | 1950. 1.10 | ツリ | 212 m |
片面 1面1線 | スイッチバック駅 | |
35.4 | D20 | 箸蔵 | はしくら | 1929. 4.28 | ハシ | 139 m |
対面 2面2線 | 跨 | 昔は2面3線 |
38.8 |
D21 B24 | 佃 | つくだ | 1950. 1.10 | ツク | 94 m |
島式 1面2線 | 跨 | 徳島線分岐駅 |
43.9 |
D22 B25 | 阿波池田 | あわいけだ | 1914. 3.25 | イケ | 116 m |
併用 3面5線 |
み旅 屋跨 | 側線・留置側線多数有 |
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