タンクコンテナの積荷




 コンテナの画像を撮影しているうちに、特にタンクコンテナの筐体に記載されている各種の謎(^^;の液体の正体が気になってきたため、ちょっと調べてみた。

 以下並び順は、ローマ字 → 数字 → カタカナ →漢字ひらがな の昇順となっている。



(物質名称・概要)(画像例)

<5−メチルフルフラール>



<DCN>

 「1,4-ジクロロ-2-ニトロベンゼン」の略号。

 「化学物質審査規制法指定化学物質及び化学物質排出把握管理促進法」の中で第1種指定化学物質に指定されている。

 主に染料や有機顔料、また紫外線吸収剤の原料として使用される。
 ラットなどを使用した動物実験では、各種変異や発ガン性が認められているほか、死亡例もあるという、


<HDI> 〜劇物/有害大気汚染物質〜

 「ヘキサメチレンジイソシアネート」の略。
 危険物第4類に分類される、医薬用外劇物。特に目に入ると、激しい傷害を残すらしい。

 主な用途は、 顔料,塗料 合成中間体。



<MDI> 〜危険物第4類/有害大気汚染物質〜

 「ジフェニルメタンジイソシアネート」の略で、アニリン及びホスゲンを主原料として製造される無色の液体。

 これも毒性があり、消防法では危険物第4類に分類され、法律上の危険物に該当する。また大気汚染防止法では、有害大気汚染物質に指定されている。
 主用途は、硬質ウレタン樹脂や塗料・接着剤。







<MFG−NS>



<PPG> 〜危険物第4類〜

 「ポリプロピレングリコール」の略。プロピレンオキサイドを重合させて製造される液体。
 ウレタン樹脂や塗料として利用される。




<TDI> 〜有害大気汚染物質〜

 「トリレンジイソシアネート」の略で、トルエン及びホスゲンを主原料として製造される無色の液体。
 毒性があり、取扱いには注意を要する(法律上の危険物に該当)。水と反応すると炭酸ガスを発生する。皮膚に付くと水泡ができ、目に入ると炎症を起こして視力障害が残ることもあるらしい。大気汚染防止法では、有害大気汚染物質に指定されている。

 主な用途は軟質ウレタン樹脂。


<アクリルアマイド>



<アクリル酸ジメチルアミノエチル> 〜危険物第4類〜

 無色ないし茶褐色透明の液体。
 引火点が29.4℃と非常に低く、もちろん火気厳禁。
 皮膚につくと、かぶれる、ただれる、発赤するなどの刺激症状を呈する。眼に入ると粘膜を刺激する。

 主な用途は、接着剤。



<アクリル酸メチル> 〜危険物第4類〜

 別名、メチルアクリレート。
 強いエステル臭を発する無色透明の液体。

 引火性が強く(引火点 −1.5℃)、熱、光、過酸化物の影響下で容易に重合する。強酸化剤と激しく反応し、火災爆発の危険性をもたらす。

 皮膚、眼、粘膜、食道に強い刺激があり、皮膚及び粘膜より容易に吸収される。
 濃度暴露では、流涎、激しい眼及び呼吸器の刺激作用が起こり、更に重症では唇の蒼白、呼吸困難、けいれん(中枢神経刺激症状)が起こり、肺浮腫が原因で死亡することがある。

 主な用途は、アクリル繊維原料、共重合樹脂原料、接着剤、塗料など。


<アクリロニトリル>


<アリルクロライド> 〜危険物第4類/有害大気汚染物質〜

 「塩化アリル」「クロロアリレン」などとも呼ばれる。
 第4類第1石油類に分類される、無色透明の引火性液体。不快な刺激臭・ニンニク臭を発するらしい。

 目、鼻などの粘膜を刺激する。吸収をくり返すと胃腸、肝臓、腎臓障害を起こす。また皮フからも吸収されるらしいので注意が必要のようだ。吸入、経口摂取、腹腔内、静脈内投与により毒性を示す。動物実験で発がん性を示し、皮フ、眼、粘膜の刺激剤である。

 用途は、香料中間体、殺虫剤、防虫剤、除草剤、医薬中間体、合成樹脂、合成中間体、土壌改質剤、などなど・・・


<アロン T−50>


<エチレンシアンヒドリン(エチレンシアノヒドリン) 〜劇物/危険物第4類〜

 強い引火性のある水溶性の第三石油類。無色ないし淡黄色の液体。
 エチレンオキサイドとシアン化水素を反応させて生成される。

 硫酸とは激しく反応する危険性があるほか、酸または酸蒸気と混ざるとシアン化物のガスを発する。さらに、水または水蒸気と混ぜると有毒で可燃性の蒸気を生成する。
 毒物及び劇物取締法で、劇物に指定されている。消防法では危険物第4類に指定される。

 合成中間体、セルロースエステル、無機塩の溶媒として利用される。


<オルソ・ジクロロベンゼン> 〜危険物第4類/有害大気汚染物質〜 

 タンクコンテナには「オルソ〜」と記載されているが、一般的には「オルト・ジクロロベンゼン」「o−ジクロロベンゼン」などと表記される。

 引火性のある、危険物第4類・第3石油類。常温では無色透明〜黄色の重い液体。
 主に、染料、顔料、農薬、医薬中間体などの有機化合物を合成する際の原料として使われるほか、ワックスやゴムの溶剤、機械用潤滑剤の洗浄剤、殺虫剤(うじ殺し)・消毒剤などにも使われている。

 ラットを使った動物実験では、空気中からの吸入を続けると肺炎や肝臓障害を起こす場合があることが認められている。
 皮フからも容易に吸収され、1000ppmで致死的麻痺が起こる。



<カタロイド>




<コロイダルシリカ水分散液>


<ジアリルアミン> 〜危険物第4類〜

 危険物第4類に分類される、高い引火性のある第1石油類。燃焼時には大量の有毒ガスを発生する。
 蒸気/空気の混合気体は爆発性があり、充填、取り出し等の取扱い時に圧縮空気を使用してはならないと規定されている。

 また、加熱すると分解して有毒なNOxガスを発生する。


<ジクロロプロペン(1.3−ジクロロプロペン)> 〜危険物第4類〜

 35℃の引火点を持つ無色の液体で、クロロホルム様の臭いを発する。
 殺虫剤,防虫剤 殺線虫剤などに使用され、酸化性物質を混ぜると激しく反応する。

 経口摂取と吸入のほか、皮膚からも吸収される性質がある有毒物質。強度の刺激剤。動物実験により肝臓と腎臓に有毒であると判明しているらしい。


<トルエン>


<ノナンジアミン>




<プロパギルメチルフラン>



<メチオニン ヒドロキシアナログ> 〜劇物

 アミノ酸の一種で、家畜飼料やキャットフードなどに使用される。
 特に飼料添加物として、メチオニン(必須アミノ酸)類似物質(アナログ)として、乳牛の乳の出を良くするのに使われたり、ブロイラー飼料と混ぜて使われることもある。


<メチルクロライド>


<メチルトリクロロシラン>


<モノクロロベンゼン> 〜危険物第4類/有害大気汚染物質〜

 「塩化ベンゼン」とも呼ばれる。
 透明な無色の液体で、アーモンドのような香りを発するらしい。
 揮発性で燃えやすく、引火点は29.4℃。単独でも中程度の爆発危険性を有するほか、空気と混ざっただけで容易に爆発性混合ガスが生成される。

 経口摂取により中等度の毒性を示す。弱い刺激性と強い麻酔作用を持ち、長時間曝露されると腎臓障害や肝臓障害を起こすことがある。そのほか、意識喪失、四肢筋肉のれん縮、チアノーゼ、深く早い呼吸、小さく不規則な脈拍がみられる場合もあり、赤血球にも影響を及ぼす。蒸気を吸入すると、頭痛、めまい、吐気、意識喪失をもよおす。

 モルモット実験では、1000ppmで20時間曝露すると死亡する。また猫を使った実験では、皮フに3700ppmで曝露すると7時間で死亡し、8000ppmでは30分で深麻酔となったのち、曝露中止後2時間で死亡するらしい。

 用途は多岐にわたり、染料、顔料、塗料、香料、香料中間体、溶剤、洗浄剤、殺虫剤、防虫剤、医薬、医薬中間体、合成中間体など。



<ラテックス>

 日本語で言えば「天然ゴム」
 日光や水によって分解される、環境に優しい100%自然原料。用途は、、、いろいろ(^^;




<液化イソプチレン>



<液化クロルメチル> 〜劇物

 別名「塩化メチル」「メチルクロライド」「モノクロロメタン」。「クロロメチル」と表記する場合もある。

 通常状態では無色のエーテル臭のある気体で、圧縮することで無色の液体になる。
 ガスは空気より重く、可燃性ではあるが、弱く燃える程度である。ただし空気と混合すると、空気中で爆発するおそれもある危険な爆発性混合ガスとなるため、濃厚液の取り扱いには注意を要する。

 中枢神経麻痺の作用があり、気体の状態で吸引すると麻酔作用が現われ、多量吸入すると頭痛、吐気、おう吐等の症状を催し、意識を失う場合もある。
 液体の状態で皮膚に触れると、凍傷を起こす。


 主な用途は、冷凍機用冷媒剤や、発泡スチロール用発泡剤。また、シリコーン、各種農薬、界面活性剤、高分子凝集剤、香料、染料、有機中間体などの製造用原料。


<液体クロム酸>

 クロムは耐蝕性が高く、電気メッキやステンレス原料として用いられる金属である。
 このうち、特に6価のクロムを含むものをクロム酸といい、それの液状の状態が液体クロム酸。
 強力な酸化性を持ち、皮膚・粘膜に炎症や潰瘍をつくる性質があるほか、吸入すると呼吸器の粘膜が刺激され、喘息に似た症状を起こし、長期的には肺ガンの原因となる可能性があると言われている。
 金属表面処理剤、触媒、無機顔料、木材防腐剤原料として使われる。


<塩化イソプロピル>



<塩化エチル> 〜劇物/有害大気汚染物質〜

 別名、クロロエタン。
 常温ではエーテル臭を有する気体で、加圧または冷却すると無色の液体となる。
 可燃性で点火すれば緑色の炎をあげて燃焼する。引火点は−50℃。
 四アルキル鉛の原料の他、アルキル化剤、寒冷剤、麻酔剤等に使用される。

 酸化によりホスゲンを形成し、水又は水蒸気と反応し、有毒で腐食性のガスを発する。

 塩化メチルに比べて毒性は少ないが、高濃度の蒸気を吸入した場合麻酔作用があるほか、皮フに付着すると凍傷を起こすことがある。
 主な毒性は中枢神経抑制作用で、ヒトにおける急性中毒症状は13000ppm前後から現れ、20000ppmではめまい、軽い痛覚低下、軽い腹筋けいれんを生じ、3%では30秒で中毒症状が発生する。経口摂取および吸入により中程度の毒性を示す。皮フ、眼、粘膜を刺激し、眼に有害である。



<塩化メチレン>


<塩酸(塩化水素水溶液)> 〜劇物

 誰もが知っていて(?)、学校の化学実験でも結構気軽に(そうか?(^^; )使われている、メジャーな劇物・塩酸。

 摂取はもちろん、気体の吸入でも時には致命傷に至る有毒物質。目に入れば失明の危険もあり。
 直接合成と有機合成のいずれかの方法によって製造される。2004年度は国内でおよそ230万トンが製造された。

 無機薬品を始めとする各種工業薬品の製造、電機・電子工業、食品工業、鉄鋼等、非常に多岐に渡って利用されている。



<重クロム酸ナトリウム>


<水酸化アルミニウム>

 200〜350℃で激しく脱水分解し、その際に大きな吸熱を伴う。
 そのため、ゴム・プラスチックに充填すると加熱されてもその温度上昇が抑えられ、自己消化性を促すと共に発煙を抑制し、有毒ガスも発生しないことから、難燃材として優れた機能を発揮するほか、プラスチックの耐アーク、耐トラッキング性も向上させる。
 住友化学の愛媛工場で生産されている。


<硫酸(濃硫酸)> 〜劇物

 今更言うまでもない、劇物。「毒物及び劇物取締法」で「医薬用外劇物」に指定されている。
 三酸化硫黄を水と反応させて得られる、粘性を持つ酸性の液体。実際には、日本においては二酸化硫黄を酸化して水に吸収させる方法で製造されている。
 水に溶かすと発熱する。不揮発性。

 新居浜駅で見かけたコンテナに積まれる濃硫酸は、このうち質量パーセント濃度が90%以上のものをいう。強い脱水作用があり、有機物から水素と酸素を水の割合で引き抜く作用があるため、皮膚に付くと火傷を起こす。
 蒸気を長時間吸入すると歯牙酸食を起こしたり、ときには肺炎や肺水腫を起こすほか、眼に入ると失明する場合もある。

 おもに工業用品、医薬品、肥料、染料、爆薬などの製造のほか、有機化合物の合成などに用いる。



<硫酸ヒドロキシルアミン> 〜劇物/危険物第5類〜

 アルカリの存在下で加熱するとヒドロキシルアミンが遊離して爆発的に分解するほか、加熱分解すると有毒なSOxとNOxガスを発生する。さらに、熱または化学反応にさらすと、中程度の爆発危険性を持つ。
 「毒物および劇物取締法」により劇物に指定されており、「自己反応性物質二種(危険物第五類二種)」に分類される。
 染料・顔料・塗料・インキ(染料助剤)、高分子材料(合成樹脂)、化学合成原料等、化学合成原料等(安定剤,酸化・老化防止剤)として利用される。




 PPG、TDI、MDIについては、いずれもポリウレタンの原料となる石油化学製品で、尼崎市に本社を置く住化バイエルウレタンの新居浜工場で、合わせて年間約13万トンが生産されているらしく、どうりで新居浜行きが全て「返空」になっているはずである。


 これらの積荷のタンクコンテナは、一部を除いてほとんど新居浜駅で見ることが出来るもので、「化学工業の町・新居浜」の面目躍如といったところだが、しかしこうやって見ると、新居浜発着(特に新居浜発の上り方面行き)の貨物列車には、結構ヤバい物が積まれているのね・・・
 列車と事故を起こさないように、踏切ではちゃんと一旦停止して安全確認を!(^^;








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