<沿革>
予讃線の起源は、1889年に丸亀〜多度津〜琴平間開業した讃岐鉄道に始まる。当時の多度津駅は現在の多度津工場のあたりに位置し、その後観音寺方面への延伸に伴って現在の位置に移転した。 なお、一部マスコミなども含めて、これが四国最初の鉄道と紹介されることがあるが、実際は1888年10月に伊予鉄道が松山(現:松山市)〜三津間を開業したのが最初である。 但し当時の伊予鉄道線は軽便鉄道線規格であり、普通鉄道規格の路線としては讃岐鉄道が最初であり、その旨注釈を入れている記事も散見される。 線路は1897年には高松まで延長され、当時の高松駅は現行高松駅に近いところにあった。ちなみに宇高航路か開業したのは、対岸の宇野線が宇野まで開通した1910年6月12日で、このとき、先代高松駅舎のあった位置に高松桟橋駅が開設された。 以下、開業の経緯を現在の予讃線および内子線に関する全区間について記す。
1927年に高松〜松山間が全通し、四国初の優等列車として準急列車(愛称名無し)が高松〜松山間に運転を開始した。 また1947年6月29日に、高松桟橋〜宇和島間直通の準急列車が登場している。 初の愛称付き準急は、1950年10月1日改正で高松桟橋〜松山間に設定された「せと」。 複線化進捗状況。 ・1965年9月15日 高松〜香西間 ・1966年4月6日 丸亀〜多度津間 ・1966年9月28日 鴨川〜坂出間 ・1967年9月22日 香西〜鬼無間 ・1968年9月25日 端岡〜国分間 ・1968年9月29日 国分〜鴨川間 ・1970年3月27日 鬼無〜端岡間 ・1993年9月21日 坂出〜丸亀間 電化進捗状況。 ・1987年3月23日 高松〜坂出間/多度津〜観音寺間 ・1987年10月2日 坂出〜多度津間 ・1990年11月21日 伊予北条〜伊予市間 ・1992年7月23日 観音寺〜新居浜間/今治〜伊予北条間 ・1993年3月18日 新居浜〜今治間 <概要>
予讃線は香川県の高松市から瀬戸内海沿いに四国をほぼ半周し、愛媛県南端の市である宇和島とを結ぶ延長300km以上に及ぶ幹線で、四国のメインルートでもある。 高松から多度津までは土讃線列車も走行することから、この区間については国鉄時代に既に一部を除いて複線化されていた。現在では高松〜宇多津間はこれに加えて瀬戸大橋線列車も走行するため、地方の路線としては列車本数はかなり多い(高松〜坂出間、定期旅客列車本数:237本/日)。 四国では一番の幹線である予讃線も、全国レベルで見れば「甲線−乙線−丙線−簡易線」とランクされた線路規格のうち、「丙線(三級線:高松〜松山間))」規格で建設された「ローカル線」であった。 その為、電化や複線化といった線路改良も、国鉄時代は高松〜坂出間と丸亀〜多度津間の複線化しか行われず、民営化直前にようやく高松〜坂出・多度津〜観音寺間の電化が駆け込みで完成したにとどまった。重軌条化についても、1960年の時点でも高松〜多度津間のみ37N、他は30Nが基本、という状況であった。 しかしながら国鉄時代から多くの優等列車が運転され、1960年代には既に現在のエル特急並みの等時隔ダイヤが気動車急行列車によって実現されていた。 当時最速の急行列車は多度津〜松山間を表定速度約67km/hで結び、単線区間の気動車急行列車としては文句無しに日本最速で、本州の気動車特急と比肩しうるスピードだった。 現在は分厚いバラストにコンクリート枕木などで強化された軌道上を、平均時速90キロ程度の特急列車が1時間ヘッドで運転され、全線単線でこれほどの高速・頻繁運転が行われている路線は他に例がない。 なお、高松〜多度津間は2010年3月改正で一部の列車でワンマン運転がはじまったが、これによってJR四国内の全ての区間がワンマン運転対象区間となった。 これに合わせて、同区間の各駅のホームに後方確認用のミラーが設置されている。 〜icocaエリア〜 ICカード乗車券の導入に関しては、JR四国はJR旅客会社としては最後となったが、結局利用者数やコストなどの問題から、結果的にJR西日本の岡山エリアに組み込まれる形での導入となった。 当初は高松・坂出両駅のみの扱いで、2012年3月17日から開始された。 その後2014年3月1日からは、予讃線の高松〜多度津間が利用可能エリアとなっており、駅員配置駅では窓口の営業時間中にicocaの購入、およびチャージが可能となっている。 これに合わせて利用可能エリアの各駅には、icocaに対応した自動改札機または簡易改札機が設置されている。 <列車&車両>
<高松〜多度津間 旅客列車> JR四国の路線としては島内で唯一の複線区間であり、上記の他に土讃線列車や瀬戸大橋線列車が乗り入れてくるため、使用車種&運転本数ともに地方都市圏区間としてはかなり多い。 特急列車は予讃線の「しおかぜ」「いしづち」「モーニングEXP高松」のほか、土讃線の「南風」「しまんと」、それに東京行き寝台特急「サンライズ瀬戸」が加わる。 「南風」「しまんと」は全て2700系、「しおかぜ」「いしづち」が8000系と8600系で運転される。 またこの区間は四国島内で唯一の快速列車(定期列車)走行区間でもあり、瀬戸大橋線の「マリンライナー」が30分ヘッド、予讃・土讃線の「サンポート」が30〜60分ヘッドで運転されている。 「マリンライナー」は5000系&223系5000番台が運用され、普通列車としては関西の新快速と並ぶ国内最速の130km/h運転を行っている。 「サンポート」は、6000/7000/7200系の各系列が使用され、異系列併結列車も多いが、編成は最大でも4両。 高松〜坂出間では1日に上下合わせて100本以上の快速列車が運転されており、40万規模の地方都市圏区間としては国内では他に類例がない。 <多度津〜伊予西条間 旅客列車> 特急列車は8000系電車と8600系電車が充当され、定期列車だけで下り17本/上り19本が運転される。 このうち単独運転となるのは、下り2本/上り5本だけで、そのほかの日中の列車は全て「しおかぜ」「いしづち」併結列車となる。 多度津以西の普通列車は全て各駅停車のみとなり、高松運転所の7200系が主力だが、朝夕の輸送力列車などに6000系が充当される他、区間列車には7000系もある。 多度津〜観音寺間は日中毎時2〜3本の普通列車があるが、観音寺〜伊予西条間では毎時1本程度になる。 なお7000系は観音寺以東では高松運転所所属車、以西は松山運転所所属車がもっぱら充当されているが、松山車が高松まで乗り入れる運用や、逆に高松車が松山まで入る運用もあり、1両単位で運用が組まれている関係もあって、高松車と松山車の混結運用も多く組まれるなど、かなり複雑である。 また、異系列車両の併結列車も多く設定されている。 <貨物列車> 一方貨物列車は、本四直通系統が5往復(うち2往復は臨時)設定され、そのうちの下り1本と上り2本は新居浜・松山方面へ直通するが、いずれも一旦高松貨物ターミナルを経由して車両の増解結を行う、スイッチバック運転となっている。 本州からの直通を含めた、高松貨物ターミナル発着の島内列車は、新居浜行が2往復と、伊予三島・松山行が各1往復の合わせて4往復が運転される。 高松〜坂出間では、合わせて1日最大9往復の貨物列車が走行するが、夜間帯運転の列車が多く、日中に撮影可能な列車は少ない。 特に松山行貨物列車は上下とも夜間から未明にかけての運転となり、日中の撮影は不可。 種別は、臨時2往復を含めた9往復全てが、最高速度95km/hの「高速貨物列車B」となる。 ただし、多度津以西の区間では最高速度が85km/hに制限されている。 牽引機は2025年3月15日改正以降は全てEF210に一本化された。EF210形は東京〜高松〜新居浜間の列車は吹田機関区、大阪〜高松〜松山間の列車を岡山機関区、それ以外は新鶴見機関区が運用を担当する。 編成は、本四直通系統は定期3往復のうち2往復は所定22両1100トン牽引、残る1往復は20両。臨時2往復は15両または20両編成となっている。 ただし2025年現在は一部減車運転している列車がある。 島内列車は伊予三島発着列車が常時8両編成。 日中に新居浜まで往復する3070〜3071レは以前は所定8両だったが、2010年代から7両に減車する日が増え始め、2015年頃からは常時6両となり、2024年の年明けからはさらに5両に減車された。 夜間の新居浜・松山発着列車(2往復)も、以前は12両編成であったが近年(新居浜発着列車は2019年3月から)は所定9両編成となっている。 深夜の多度津駅では、松山行を新居浜行が追い越すシーンを見ることができる。 |
営業キロ | 駅番号 | 駅名 | (読み) | 開業年月日 | 電略 | 標高 | ホーム形態 | 主な施設 | 備考 |
0.0 |
Y00 T28 | 高松 | たかまつ | 1897. 2.21 | カマ | 2 m |
島式櫛形 4面9線 | み旅 |
四国のJR線の起点 駅内全平面移動可能 駅弁販売駅 高松運転所 |
3.4 | Y01 | 香西 | こうざい | 1952. 1.27 | コサ | 2 m |
対面 2面2線 | 駅舎無し | |
- | - | 高松貨物ターミナル | たかまつかもつたーみなる | 2000. 8.16 | タタ |
約10 m (測定値) | - | - |
JR貨物所属 貨物専用駅 |
6.1 | Y02 | 鬼無 | きなし | 1897. 2.21 | キナ | 12 m |
対面 2面2線 | 跨 |
|
9.5 | Y03 | 端岡 | はしおか | 1897. 2.21 | ハオ | 24 m |
併用 3面4線 | 跨 | |
11.9 | Y04 | 国分 | こくぶ | 1897. 2.21 | コク | 33 m |
対面 2面2線 | 跨 | 曲線ホーム |
14.2 | Y05 | 讃岐府中 | さぬきふちゅう | 1952. 1.27 | サフ | 20 m |
対面 2面2線 |
駅舎無し 曲線ホーム |
|
16.6 | Y06 | 鴨川 | かもがわ | 1897. 2.21 | モワ | 9 m |
島式 2面4線 | 跨 | |
18.6 | Y07 | 八十場 | やそば | 1952. 1.27 | ヤソ | 7 m |
対面 2面2線 | 駅舎無し | |
21.3 | Y08 | 坂出 | さかいで | 1897. 2.21 | サテ | 9 m |
併用 2面3線 |
み旅 EV ES | 高架駅 |
25.9 | Y09 | 宇多津 | うたづ | 1897. 2.21 | ウタ | 11 m |
島式 2面4線 |
み EV | 高架駅 |
28.5 | Y10 | 丸亀 | まるがめ | 1889. 5.23 | マメ | 9 m |
対面 2面2線 |
み旅 EV ES |
高架駅 曲線ホーム |
30.1 | Y11 | 讃岐塩屋 | さぬきしおや | 1952. 1.27 | シヤ | 2 m |
対面 2面2線 | 駅舎無し | |
32.7 |
Y12 D12 | 多度津 | たどつ | 1889. 5.23 | タト | 3 m |
島式 2面4線 |
み 地 |
多度津工場 側線・留置側線有 ターンテーブル有 土讃線分岐駅 |
36.5 | Y13 | 海岸寺 | かいがんじ | 1913.12.20 | カイ | 3 m |
島式 1面2線 | 跨 | |
39.5 | - |
(臨) 津島ノ宮 | つしまのみや | 1915. 5. 7 | ツミ | 3 m |
片面 1面1線 |
駅舎無し 臨時乗降場 曲線ホーム |
|
42.0 | Y14 | 詫間 | たくま | 1913.12.20 | タク | 3 m |
島式 1面2線 | み | 側線・留置側線有 |
44.5 | Y15 | みの | みの | 1952. 1.27 | ミノ | 3 m |
片面 1面1線 |
1994.12.3 高瀬大坊 から改称 |
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47.0 | Y16 | 高瀬 | たかせ | 1913.12.20 | タセ | 9 m |
島式 1面2線 | 跨 | |
50.0 | Y17 | 比地大 | ひじだい | 1957.10. 1 | ヒシ | 21 m |
片面 1面1線 | 駅舎無し | |
52.4 | Y18 | 本山 | もとやま | 1913.12.20 | モト | 8 m |
島式 1面2線 | ||
56.5 | Y19 | 観音寺 | かんおんじ | 1913.12.20 | オン | 2 m |
併用 3面4線 |
み旅 地 | |
62.0 | Y20 | 豊浜 | とよはま | 1916. 4. 1 | トヨ | 11 m |
島式 1面2線 | 留置側線有 | |
66.4 | Y21 | 箕浦 | みのうら | 1916. 4. 1 | ミラ | 5 m |
島式 1面2線 | 貨車再利用の駅舎 | |
72.2 | Y22 | 川之江 | かわのえ | 1916. 4. 1 | ノエ | 5 m |
島式 1面2線 |
み 屋跨 |
留置側線有 駅弁販売駅 |
77.6 | Y23 | 伊予三島 | いよみしま | 1917. 9.16 | ミシ | 18 m |
併用 2面3線 | み旅 |
橋上駅舎 側線有 |
81.7 | Y24 | 伊予寒川 | いよさんがわ | 1933. 4. 1 | サン | 9 m |
対面 2面2線 | 跨 | |
85.9 | Y25 | 赤星 | あかぼし | 1960. 3. 1 | アカ | 14 m |
片面 1面1線 | 駅舎無し | |
88.6 | Y26 | 伊予土居 | いよどい | 1919. 9. 1 | トイ | 31 m |
島式 1面2線 | 留置側線有 | |
92.2 | Y27 | 関川 | せきがわ | 1961. 4.15 | セキ | 63 m |
片面 1面1線 |
駅舎無し 本線側はホーム無し ホームが側線側にしかない |
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99.4 | Y28 | 多喜浜 | たきはま | 1921. 6.21 | タハ | 6 m |
島式 1面2線 | 跨 |
留置側線有 曲線ホーム |
103.1 | Y29 | 新居浜 | にいはま | 1921. 6.21 | ニハ | 30 m |
併用 2面3線 |
み旅 EV 屋跨 |
側線・留置側線有 駅弁販売駅 |
107.9 | Y30 | 中萩 | なかはぎ | 1921. 9.21 | ナキ | 47 m |
対面 2面2線 | 跨 | 駅前に鳥居 |
114.3 | Y31 | 伊予西条 | いよさいじょう | 1921. 6.21 | サイ | 5 m |
併用 2面3線 |
み旅 EV 屋跨 | 側線・留置側線有 |
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